紗夜の日
- 3月4日
日菜
- 今日はおねーちゃんの日だね♪
日菜
- 日菜は毎年それ言ってるわね
紗夜
- だってだって、今日は3月4日じゃん?
日菜
- はあ、何度聞いてもそれが私の日になるのか理解できないわ
紗夜
- いいもんいいもん〜♪私は知ってるんだから♪
日菜
- 私の日の次におねーちゃんの日があるなんて、なんだか運命感じちゃうよね!
日菜
- そうね……昨日は確かに日菜の日だわ
紗夜
- ね、おねーちゃん
日菜
- 毎年ひな祭りの日は私のこと甘やかしてくれたよね
日菜
- そうだったかしら
紗夜
- そうだよ。どんなに喧嘩してても3月3日だけは私の事を大事にしてくれた
日菜
- ここ数年は一緒に何かをしたりはできなかったけど、それでもいつもより少しだけ優しくしてくれてたの気がついてたよ
日菜
- ごめんなさい、覚えてないわ
紗夜
- ……
日菜
- そうだよね、おねーちゃんにとっては些細な事だったのかもしれない。けど、嬉しかったんだ……
日菜
- (本当は、よく覚えている)
紗夜
- (私は日菜にひな祭りの日ぐらいは優しくしようとしていて、誕生日は一緒だからずっと日菜の日として祝っていたその日ぐらいは優しくしてあげようとして)
紗夜
- (でも、できなかった……だから知らないふりをしてしまったけど……)
紗夜
- そう、覚えていてくれたのね……
紗夜
- ……?おねーちゃん何か言った?
日菜
- いいえ、なんでもないわ
紗夜
- (ありがとう。そう言えたらどんなにいいだろう)
紗夜
- …………
日菜
- ……ね、おねーちゃん
日菜
- 何?
紗夜
- だから今日は、紗夜の日の今日は、おねーちゃんが甘えてもいいんだよ
日菜
- 色々悩んでるのは知ってるけど、今日だけは私に甘えてくれたら嬉しいな
日菜
- 私には……
紗夜
- (そんな権利……)
紗夜
- ほら、おねーちゃん。悩まないで。私の胸に飛び込んで
日菜
- (暖かい。抱きあったのなんていつぶりかしら)
紗夜
- 落ち着くわね
紗夜
- でしょ?
日菜
- 日菜……
紗夜
- ありがとう
紗夜
- どういたしまして、おねーちゃん♪
日菜
- (今はまだあなたの目を見て言う事はできない。けれどいつかはっきりと言えるようになりたい)
紗夜
- (生まれてきてくれてありがとう。側にいてくれてありがとう。と)
紗夜