霧子は戦場に行った
(昔話)霧子とエーリッヒの出会い的なものです。
- 「ここは…ここは何処なんだ?何も見えない…何も聞こえない…手足の感触もない…」
- 急患ってのは⁉︎この子
エーリッヒ
- は、はい!そうです先生!一応、処置は施したんですが…
医師1
- 何?
エーリッヒ
- いえ…
医師1
- 何かあるなら言いなさい!
エーリッヒ
- …実はかなり酷い怪我でして…まずは顔が焼け爛れて穴という穴が塞がれています…
医師1
- 次に手足が榴弾の破片などでボロボロになってまして…腐食を考えて切除しました
医師1
- 内臓もボロボロでして…正直、生きてるのが不思議なぐらいです
医師1
- そんなに酷い状態に…彼女は何処に所属を?
エーリッヒ
- 例の第76歩兵連隊に所属していて、唯一の生き残りです
医師1
- あの第76歩兵連隊に?
エーリッヒ
- …はぁ…唯一の生存者なら助けるしかないじゃない
エーリッヒ
- この子を手術室に…例の移植を行うわよ
エーリッヒ
- 例のって…何ですか?
医師1
- 首から下を別の身体に移植するのよ!
エーリッヒ
- そんな事…不可能だ!拒絶反応を起こして死ぬのがオチです先生!
医師1
- それにドナーなんて…
医師1
- ドナーは私よ!私の身体を彼女に移植するのよ
エーリッヒ
- ⁉︎
医師1
- 私の身体は少々特殊でね…まあ、少し待ってくれればいいわ
エーリッヒ
- な、何を…
医師1
- 〜数分後〜
〜手術室〜
- 肉塊と化している患者と頭部がない遺体が手術台の上に横たわっている
- これより、頭部移植手術をはじめるわよ…メス!
エーリッヒ
- 手術は数時間に渡り、無事に移植される
- …次に顔を整形するわよ
エーリッヒ
- そんな!患者の体力が持たない!
医師1
- 大丈夫よ、なんせ私の身体と繋がってるんだからね…
エーリッヒ
- ぐちゃぐちゃになった絵の具の様な顔が、人の顔になっていく
- よし!手術終わり!
エーリッヒ
- お、お疲れ様です…先生
医師1
- お疲れちゃーん
エーリッヒ
- 「ん…何だ光が…眩しい…目を開けられない」
- 患者は元気そう?
エーリッヒ
- ええ、身体的には回復してますね
医師1
- っと?患者が丁度起きたみたいね…少し話してくるわね
エーリッヒ
- え、あっはい
医師1
- ハロハロー?どう気分は?
エーリッヒ
- ……ここは何処だ?
源 霧子
- ここ?ここは病院よ
エーリッヒ
- 私が倒れてから何日たった?
源 霧子
- 9年よ
エーリッヒ
- 9年⁉︎9年だと⁉︎
源 霧子
- 激しく暴れ出す
- そうよ、落ち着いて!ほら!
エーリッヒ
- 強く抑えつける
- ハァ...ハァ...戦況は…戦況はどうなったんだ?私の仲間は⁉︎仲間は何処にいる⁉︎みんな無事なのか⁉︎
源 霧子
- わかったわかった!一先ず落ち着いて!一つずつ答えてあげるから
エーリッヒ
- ハァハァ...ハァ
源 霧子
- 先ずは戦争だけど東側が勝ったわ
エーリッヒ
- そんな……負けたのか?
源 霧子
- ええ、それも酷い負け方をしたわ
エーリッヒ
- 次に貴方の仲間だけど……貴方以外、全員戦死よ
エーリッヒ
- 嘘だッッ⁉︎精鋭揃いの第76歩兵連隊だぞ⁉︎…そんな私以外戦死なんて…嘘に決まってる
源 霧子
- …残念だけど…えーっと、ラビット1…本当の話よ
エーリッヒ
- これは悪夢か⁉︎そうなんだろ⁉︎次起きた時には私は前線にいて、銃を持って戦って…
源 霧子
- 鎮静剤を
エーリッヒ
- は、はい!先生!
医師1
- 鎮静剤を注入する
- そして、数ヶ月後
- 例の患者の奇行はどうにかならないものか…
医師1
- 3度の脱走と乳房の切除…目も潰してるな
医師2
- 先生は何であんなの化け物を生かしてるんだ?
医師1
- さあな…あの先生の考えることなんざ理解したくないね
医師2
- 調子はどう?ラビット1
エーリッヒ
- ……
源 霧子
- いや失礼…源 霧子の方がいいかしらね?
エーリッヒ
- 何しに来たんだ先生
源 霧子
- 今日は貴方に選択肢を持って来たのよ
エーリッヒ
- 何だ?その選択肢ってのは?
源 霧子
- 1.この隔離病棟で一生過ごすか
エーリッヒ
- 2.私の護衛としてついてくるか
エーリッヒ
- ……
源 霧子
- まあ、今すぐとは言わな…
エーリッヒ
- 2だ
源 霧子
- ん?
エーリッヒ
- 2だと言っている…
源 霧子
- いいの?また銃を手に取ることになると思うけど…
エーリッヒ
- 構わん…構わんからここから連れ出してくれ先生
源 霧子
- わかったわ
エーリッヒ
- よろしくね。源 霧子
エーリッヒ
- そして、霧子は銃を手に取った