ひとり劇場

『嬉しい報告?』『悲しい報告?』 どっちだって全力で。

剣道団体戦出場 こんがらがった気持ちをぶちまけた。

『いい?私がここで一本取るから…』
先輩は団体戦の構成を見てひとりひとりに指示を出していた。
『はるちゃん、取れるなら1本取ってね。ここで私達が取るから…、2本取りされちゃダメだよ、ちゃんと避ける所は避けて…』
"信じている"

先輩の私を見据える瞳を言葉に表すならこうだろうか。
試合前日。私は明日の団体戦に備えて、先輩と団体の構成をしていた。
団体戦とは

5人で1つのチームとなり、
とった本数で勝負を決める

大会である。
チームには構成があり、

先鋒-次鋒-中堅-副将-大将

の順で、一般的には部長など中心となる強い人が大将のポジションにつく。
そんな大将の次、副将が私の任されたポジションだった。
恐らく強い順ではなく、作戦なんだろう。

先鋒から1本2本と点を勝ち取り、
後の私、それからタイミングが悪く足を痛めてしまった先輩が
安心できる構成にしてくれたのだろうか。
どのポジションでも1本を渡す気は無いと思っていたが、副将となってしまえば流石に焦ってしまう
普通なら副将、大将が強い人が来る所だ。

相手校が強豪ならば逃げられない、せめて引き分けに持ち越すしかない。

相手校が作戦も何もせず大将から強い順に並べたのであれば、副将は二番目に強い人が来る、というところか。
だとしたら勝てない可能性の方が強いのでは。
引き分けに持ち越そうにも案外コツっていうものもあって、それを私はまだ掴めていない。
少し油断しただけで一本取られてしまう事もあるだろう。
(胃が痛くなってきたなぁ)
キリキリ、と胃が痛んだ。
3年生最後の団体戦ではとても辛い思いをしたからか、いつも以上に気合の入っている先輩についていかなければいけない。

いや、ついていくんだ。
『ごめん』
そう言って泣いていた3年生の声が未だに忘れられない。

試合に出ていなかった私でさえ、

声色から、

表情から
嗚呼、負けたんだな。
と、グッ、とくるものがあった。
力になれなかった2年生の先輩も、相当辛かっただろうけれど

『次があるよ』

って、前を向いていたんだ
県大会出場一歩手前で負けた悔しさを、全力でぶつけたい。

あの時何も言えなかった悔しさを

出れなかった悔しさを

祈ってやれなかった悔しさを




あの時私に出来ることなんて何ひとつなかったけれど

今度は、やれる事が沢山ある
県大会出場と言う大きな夢を、手を伸ばして掴みたい。

掴む。
自分も出れる。

戦える。
胃の痛みなんて一瞬で吹き飛んだ。

気合いしかない。やる気しかない。

1本取れる気しかしない。
3年生に伝えたい。


『県大会出場、するよ』


って
伝えに行きたい
『おめでとう』
もしかしたら貰えるかもしれないその一言を
全力で受け止めたい
あの時の悔し涙より
ずっと、ずっと、ずっと、
ずっと綺麗な
嬉し涙にしたい
やれば出来る
まだ
まだ
3年生が引退した今でも
戦力も、気持ちも、
引き下がってなんかないから。
必ず
結果を残して帰りたい。
大丈夫
いける
できる
絶対、大丈夫
根拠なんてないけど

なんとなくでもいいんだ
自分が出来ると言っているんだ。

なら、出来るよ
これでいいんだ。明日は勝とう。
全力でぶっ潰して
全力で
県大会出場と言う大きな夢を掴んでやる

9  

投稿日時:2017-10-10 21:40
投稿者:悠人
閲覧数:60

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