スープ屋の日常「オニオングラタンスープ」
【片思いBL】◯作。健全です。
- こんにちはー
常連さん
- いらっしゃい
スープ屋
- にゃー(いらっしゃい)
看板猫クルトン
- 今日はどうしたんだ。何の用だ。
スープ屋
- 腹へってさー。他の店はどこも開いてないから!ここに来たんだ
常連さん
- にゃー(ツンデレかしら)
看板猫クルトン
- 今何時だと思ってるんだよ。朝の4時だぞ。店が開いてるわけないだろ。
スープ屋
- ウチの店も開店は6:30からだ。
スープ屋
- 出直してこい
スープ屋
- えー!腹へって死にそうだよー!はるばる2時間かけてここまで来たんだぞ!?
常連さん
- 2時間!?お前、今日何時に起きたんだよ…。いくらなんでも早起き過ぎだろ
スープ屋
- 聞いて驚けー?実は寝てない!オールナイトだ!
常連さん
- 仕事がなかなか終わらなくてなー
常連さん
- そうだったのか。お疲れ様。仕事はもう終わったのか。
スープ屋
- そう思う?
常連さん
- …思う。
スープ屋
- 緑のシャツの男は俯いて気まずそうに呟いた。
- 実は…終わってない…
常連さん
- お前…こんな所で油を売ってていいのか?
スープ屋
- いやーここに来るまでの2時間も歩きながら仕事を進めてたんだよ?サボってた訳じゃないんだ
常連さん
- ただ…ただお腹が空いて力が出ないんだよ…お腹空いたよー!
常連さん
- あーもううるさい!わかったから!そこ座っとけ。すぐ作る
スープ屋
- わあー!ありがとう!やっぱお前って優しいよなー!愛してる!
常連さん
- なっ…!?
スープ屋
- スープ屋は言葉を失った。手を額に当てながら呆れた様に言う。
- お前…適当なこと言ってないで仕事進めてろ。15分くらいで戻るから
スープ屋
- スープ屋が店の奥へと消えた。
- (あいつ…こっちの気も知らないで…。うぅ…顔が熱い。手を動かして気を紛らわそう)
スープ屋
- 昨日仕込んでおいたこれでいいか
スープ屋
- スープ屋が寸胴鍋に火を入れた。そして棚にあるバゲットを厚めに3切れ切っておく。
- チーズは…あったあった。
スープ屋
- 火にかけていた寸胴鍋の蓋を開けるとコンソメの匂いが広がる。
- ん、あったまったな
スープ屋
- スープ屋は大きめなボウルに寸胴鍋からスープをたっぷり入れた。その上に厚めに切ったバゲットを3切れ並べる。そうしてチーズをたっぷりのせる。
- 後は…かるーく焦げ目が付くまで炙って…よし、できた
スープ屋
- ねーえー!まだー?俺もう待ちきれないよーお腹と背中が引っ付きそう!
常連さん
- はいはい。今行くからおとなしくして待ってろ
スープ屋
- 右手に熱々のスープボウルを持ってスープ屋は緑シャツの男の前に現れる
- はい、どーぞ。火傷するなよ?
スープ屋
- そう言いながらゴトリとスープボウルを置いた。
- うわー!美味そう!これってオニオングラタンスープってやつだよな?食べるのたぶん初めてだよ!
常連さん
- 食べていい?食べていい?
常連さん
- …ダメ
スープ屋
- えっ…。えー!何でだよー
常連さん
- ウソだよ。どーぞ召し上がれ?
スープ屋
- そう言いながらスープ屋は小さく笑っている
- なんだよもう、からかうなよなー。じゃあいただきまーす!
常連さん
- うめっめっちゃうめー!何これ!何これめっちゃ上手いよ!
常連さん
- そう美味そうに食ってくれると作った甲斐があるってものだな。
スープ屋
- ゆっくり食えよ。喉に詰まらすぞ。
スープ屋
- ふぁーい
常連さん
- 緑シャツの男は口いっぱいにスープに浮いたバゲットを詰めたまま返事をする
- (本当にこいつ可愛いな…)
スープ屋
- 〜15分後〜
- ふぅー、食った食ったー。生き返った気分だ
常連さん
- 良かったな
スープ屋
- 本当にありがとうな。ごちそうさまでした!
常連さん
- お粗末様でした
スープ屋
- 代金はこれで頼む
常連さん
- 緑シャツの男はベルトに付いたホルダーに留めてある麻袋を差し出す
- これは…?…ほう、なかなかの上物だな。まあ量は少ないが
スープ屋
- 手厳しいなあ。結構それ採るの大変だったんだぜ?
常連さん
- だろうな。お前相当運が良いよな。どうして生きて帰ってこれるんだよ
スープ屋
- 運もあるが大部分は実力だっつの!
常連さん
- まあ、これなら今までのツケの分もチャラだな
スープ屋
- やっりぃ!やっぱりお前は物の価値の分かる男だよ。見直した、いや惚れ直した!
常連さん
- スープ屋は思わず緩みそうになる顔を引き締めた
- …男に惚れられてもな
スープ屋
- 何だよー冗談に決まってんだろーそんな顔すんなよ
常連さん
- わかってるって
スープ屋
- ご来店ありがとうございました。仕事、頑張れよ
スープ屋
- おうよ!腹一杯食って元気もいっぱいだからな!今なら何だってできそうな気がするぜ!
常連さん
- それは良かった。じゃあ俺は開店準備に入るから。そら帰った帰った
スープ屋
- えー、もうちょっと話したかったのにな。まあいいか!また来るな!
常連さん
- おー。また来い。次は常識的な時間に来いよ
スープ屋
- はいよー!またなー!
常連さん
- ガチャ…バタン
- 閉まる扉の隙間から緑シャツの男が手を振るのが見えた
- …さて、準備するかな
スープ屋
- にゃー(私ずっと空気だったわね…)
看板猫クルトン
- クルトン、お前起きてたのか。まだ早いし寝てろよ
スープ屋
- にゃー(そうするわ、気分ものらないし。おやすみなさい)
看板猫クルトン
- ん、おやすみ
スープ屋
- [END]