化け物の昔話
少し昔話をしようか、俺が勇者だった頃の話を
- 昔の事を語ろう
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- 俺は昔、人間だった
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- よくあるラノベの様に異世界に飛ばされた、ごくごく普通の主人公だったさ
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- 主人公を普通と言っていいのかは疑問だがね
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- 仲間と出会い、ダンジョンに入り、旅をした
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- ただのファンタジー小説だったさ
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- だが、小説の様に全て上手くいくはず無かったんだ
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- そこそこ強かった俺らのパーティはある日王宮に呼び出された
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- 理由?ファンタジーなんだから一つに決まってるだろ?
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- 「魔王を倒してこい」
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- だとさ
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- 軍資金なんて配布されなかったさ。おかしいよね、無理難題を吹っかけておきながら資金援助をしないなんてさ
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- んで、当然昔の俺は抗議したさ、そしたらなんて言ったと思う?
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- 「貴様ら冒険者風情にやる金なんぞない、国はただでさえ貧窮してるのだ、どうしてもと、言うのならそれ相応の対応をして貰おうか」
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- 自分達が金を無駄遣いしているから貧窮しているのにね、ちゃんちゃらおかしいよ。
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- そして、その発言の最中に俺の仲間を見てたんだ。俺の仲間は戦士、僧侶、魔法使いの3人で俺と戦士が男、僧侶と魔法使いが女だった
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- あのクソ野郎は言外にこう言ってたんだぜ?
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- 「僧侶と魔法使いを抱かせろ」ってな
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- まぁ、そんな訳で俺は渋々諦めたさ
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- 魔王がいる城は人間が住む場所と山で隔てられた魔族の住む場所の中央部
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- 当然魔族の住む場所、魔族領域には人族の集落なんてないさ
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- だから、目指すは短期決戦、もしくは食料を現地調達するしながらなの長期戦だ
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- まぁ、俺の馴染みの強いパーティにも声が掛かってたらしくてさ、途中までみんなで行こうって話になったのさ
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- なぜ途中までって?そんなの決まってるさ
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- 敵に勘付かれやすくなるからさ
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- 団体行動ってのは意外と見つかりやすいのさ
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- さて、そんな訳で何も知らない国民から祝福されて旅立った訳さ
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- まぁ、みんな強かったからさ、楽々人族領と魔族領を隔てる山脈に到着した訳よ
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- 名前があった筈なんだが思い出せないから山脈で統一するぞ
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- 一つ目の悲劇はそこで起こった
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- 食料が消えたのさ
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- そこで誰が食料を盗んだのかって疑心暗鬼に陥ったわけさ
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- そこでついに耐え兼ねた一つのパーティが他のパーティを襲い出したんだよ
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- ここに来たパーティは4つ
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- 俺らは早々に逃げ出したんだが、一つのパーティが全滅したみたいだ
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- そして、襲ったパーティは魔物に襲われ全滅
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- 残ったパーティは離れ離れになったのさ
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- 俺らは食料を現地調達しながら見つからない様に進んだ
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- 極力戦闘を避けるために泥の中に這いつくばったり、汚物の中に隠れたりもした
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- それでも戦闘が避けられない時もあったさ
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- だけどなんとかやって行けたさ
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- さて、此処で二つ目の悲劇だ
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- 俺らはある魔族の町に人間の子供達が囚われているとの話を聞きつけたんだ
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- そして助けに行こうって話になったんだ
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- 今でも思う、なぜ助けようとしたのかって
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- 結果的に言うと子供達が囚われている城への潜入は成功、無事子供のいる牢獄に到着できた
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- で、牢を破壊して助け出した訳さ
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- だが、遅かったんだ
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- 子供達はもう悪魔に取り憑かれていたようだ
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- それに気づいた俺らは逃げたんだ
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- だけど途中で魔法使いが転んだんだよ
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- 助けたかったさ、でももう悪魔に集られて生きたまま喰われていたんだ
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- 壮絶な声だったさ
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- 全員で耳を塞いで逃げ出した
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- 忘れられないさ、あの叫び声は
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- 「にげでぇぇぇぇぇぇえええええええ」ってさ、喰われながら言ってたんだよ
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- 凄いよ………ほんとに………忘れることなんて出来なかったさ
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- さて、そんな事があって俺たちは子供が捕らえられている、人が酷い目に遭っていると知っても助けに行かなくなったさ
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- ああ、辛かったさ、何が勇者だ、何が英雄だ
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