自殺のことを悪魔様に説いてもらう
- よう
ヌイグルミ?
- ああ、お前だよ、そこのお前だ!
ヌイグルミ?
- 浮かない顔だなぁ?
ま、近ごろの人間みんなそうだけどよぉ
ヌイグルミ?
- なにがあったんだい、え?
ヌイグルミ?
- なんかあるだろ。
いじめられているとか、
人間が信じられないとか、
この世の全てに絶望したりだとか裏切られたとか、数え切れねぇなw
ヌイグルミ?
- ………あ?
ヌイグルミ?
- 辛くて苦しいことが沢山あるのに誰も助けてくれない?
ヌイグルミ?
- 良い人でいたいはずなのに
世界がそれを許してくれない?
ヌイグルミ?
- ふ~ん。
ヌイグルミ?
- いやいや、オメーのそんな悩みを聞きに来たわけじゃねえんだわ。
ヌイグルミ?
- 俺いまヌイグルミに憑依してるわけだけどさ、悪魔なの。
わかる?悪魔。
ヌイグルミ?
- で、よくわかんねー人生に絶望とかしてるアホな人間どもに悪魔の契約をさせに来たのさ。
ヌイグルミ?
- …何?アホとは心外だ、って?
ヌイグルミ?
- …くくくっ
ヌイグルミ?
- はっはっはっはっはっはっ!
ヌイグルミ?
- いいだろう人間、教えてやるよ!
三日月の悪魔
- 人生を悲観してるうちは、
みなアホだ!
三日月の悪魔
- 死にたいと思うか?
消えてしまいたいと思うか?
もうどうでもいいと思うか?
死ねばいいと思うか?
楽になりたい、死ぬしかないと思うのか?
三日月の悪魔
- …死ねば楽になると、殺せば楽になると思ってんのか?
三日月の悪魔
- 壊せばなんとかなると思ってるんだろ?
三日月の悪魔
- せっかくの人生を無駄にしたいと思ってるんだろ?
三日月の悪魔
- ほら、こういう言い方するとアホだ。
三日月の悪魔
- 多くの場合、自殺の理由は
現実逃避の延長、自己防衛の過激版なんだよ。
三日月の悪魔
- 逃げてどうにかなると、
本当に思うか?
三日月の悪魔
- ならねぇんだなコレが。
三日月の悪魔
- お前が死のうが生きようが、
残酷な世界は変わんねぇよ。
三日月の悪魔
- いろんな所で死にたくねぇ奴が死んでんだろうし、いろんな所で人が人に殺されてんだ。
三日月の悪魔
- 想像つかねぇだろ。
三日月の悪魔
- 良いんだよそれで。
それは恵まれてるってことなんだからな。
三日月の悪魔
- ん、話戻すぞ。
三日月の悪魔
- 世界はお前が死のうが変わんねえままだ。お前なんかいてもいなくても勝手に廻ってっちまう。
三日月の悪魔
- でさぁ…自殺者の霊って、
ほとんどの場合冥界に連れてかれにくいんだわ。
三日月の悪魔
- つまり…世界から置いてかれたまま消滅を待つ。世界のど真ん中でな。
三日月の悪魔
- そ~んな辛いこたぁ他にねえぜ?
三日月の悪魔
- な、やめとけって。
そんな永遠の罪犯すの。
三日月の悪魔
- でもよぉ、これ聞いてもまだ自殺願望が消えねぇカワイソーな輩は、ちょっと死んでみるといい。
三日月の悪魔
- そしたら色んなものが見えてくる。
憎しみに覆い隠されてた喜びだとか、怒りに覆い隠されてた楽しさだとかが。
三日月の悪魔
- その時、人間は必ず後悔する。
三日月の悪魔
- そしてさまよい続けるのさ、
自分が存在していないはずの世界をずぅっとな。
三日月の悪魔
- 永遠の孤独。
三日月の悪魔
- 悩みが持てるほどお前の周囲に人がいるのなら幸せなこった。
孤独で、殺されてもいいからだれか人に会いたいと思うやつもいるんだぜ。
三日月の悪魔
- わかるか?
三日月の悪魔
- 恵まれた人間が、自分のことをよく考えもできずに勝手にそのせっかくの命を棄てていく。
三日月の悪魔
- こんなアホなこたぁねぇよ。
三日月の悪魔
- ああ勿体ねぇ…
俺に分けてくれよ。
三日月の悪魔