I knew you ware Trouble1
テイラースウィフトの「I knew you ware Trouble」をモチーフとした物語になります。
- I knew you ware Trouble
- ここ、どこ…
エレナ
- 目が覚めるとそこは、ゴミで荒れ果てていた。なにか野外パーティでも行われていたかのような散らかり方だ。
- 体を起こすと、ずっしりと疲れを感じた。思うように体が動かない。かすかに頭痛も感じる。これは2日酔いだとすぐに分かった。
- はぁ…
エレナ
- 周りに人はいない。ゴミしかない広場の真ん中で、辺りをじっくりと見回すと、小さなステージのような台が何個か置いてあった。
- それを見た瞬間、フラッシュバックのように、賑やかな夜の瞬間が脳裏に浮かんだ。頭痛がする。
- …エイディン………
エレナ
- 浮かんだ名前を呟いた瞬間、何か悪い予感がした。いや、違う。何か悪いことが過去に起きた気がした、の方が正しい。
- そして徐々に、記憶のピースをはめていくように、過去の出来事から思い出していった。
- それは3ヶ月ほど前。
- …あ、エイディン!こっち!
エレナ
- カフェのテーブル席で、1人でアイスコーヒーを飲んでいた。
- 入店の知らせであるベルが鳴るたびに、扉の方を見ていたが、15回目の来客で心がやっと跳ねた。
- …よっ。
エイディン
- 遅いよ、もう。40分も待ったけど。
エレナ
- エイディンと待ち合わせると7割ほどの確率で遅れてくる。残りの3割は先にいる。エイディンはいつも極端に遅れてくるか、先にいるかのどっちかだった。ほとんど遅れてくるけれど。
- ごめんって。でも慣れてんだろ?
エイディン
- …今日は先にいるかと思ったんだけどな。
エレナ
- 待ってるお前の方が可愛いんだよな。
エイディン
- な、なにそれ…
エレナ
- ワクワクしてんの、バレてるからな。
エイディン
- エイディンはそう言いながら正面に座ると、額をくっつけた。
- 待っててくれた方が嬉しいんだけど?
エレナ
- でも待ってる方がドキドキすんだろ?
エイディン
- エイディンはキスをした。嬉しさで笑みがこぼれる。
- ほらな?待たされる時のキスより断然良い。
エイディン
- わ、私にだって…良い思いさせてよ。
エレナ
- …コーヒーの匂い。
エイディン
- ご、ごめん、嫌だった?
エレナ
- ほら、ちゃんと俺が感じるキスを気にしてる。これからも良い思いさせろよな。
エイディン
- う、うるさっ…!
エレナ
- エイディンは乗り出していた体を戻し、背もたれに寄りかかった。
- はははっ。それ飲んだら行くぞ。
エイディン
- もう…
エレナ
- エイディンとは1年前に出会った。
- 自分にアプローチをし続けていた人に惹かれ始めていたころ、彼が他の女の人とキスをしているところを見てしまった。
- 彼にそれがバレてしまい「遊びだった」と一方的に振られてしまった。思っている以上に彼に惹かれていた私は、バーのカウンターで何杯もお酒を飲んだ。酔った状態で家に帰ろうと、フラフラしながら歩いているところを助けてくれたのがエイディンだった。
- エイディンは優しくしてくれたので、酔った勢いで起きた出来事を全て話し、涙を流した。エイディンは優しく抱きしめてくれた。その流れで、エイディンと一夜を共にし、そこから交際が始まった。
- きつめの言葉の中に、優しさが見えるエイディンの言葉としぐさに、毎日ドキドキさせられていた。
- な、何これ、どうしたの!?
エレナ
- エイディンは自分のことを語らない。でも聞こうとは思わなかった。だから普段何をして稼いでいるのかも分からない。
名無しさん
- お金を貸して欲しいと言われることが多いが、しっかりと返してくれる。でも、あまりいい暮らしではないんだろうと感じていた。
名無しさん
- だから駐車場に置いてあった真っ赤なオープンカーをエイディンに見せられた時は驚いた。
名無しさん
- 知り合いの先輩が貸してくれたんだよ。彼女いるんならこれに乗せてやれって。1週間だけだけどな。1番にお前と乗りたかったんだ。
エイディン
- 嬉しさを伝えるために、エイディンに笑顔を見せた。
- 今日はドライブデートってこと?
エレナ
- 悪くないだろ?たまには。
エイディン
- …もちろんよ!
エレナ
- エイディンは先に運転席に乗って手招きした。後を追って助手席に乗ると、エイディンは鍵をポケットから取り出し、エンジンをかけた。
- 2へ続く…