申し訳ないと思っている事を互いに3つ言わないと出られない部屋
オリキャラ2人。冒険者として長年共にいるパーティは遺跡で罠にかかり、2人だけが謎の部屋に閉じ込められていた。
- 『申し訳ないと思っている事を互いに3つ謝らないと出られない部屋』
- ……はっ。こ、ここどこ…!?みんなは、無事…!?
テレジア
- ……う…。うるせぇ…。頭に、ひびく…。
カイル
- カイルっ!よかった……。
けど、私達だけ、なの…?
テレジア
- そうみたいだな。…遺跡で罠を見つけて、ラムウが解除しようとしたのは覚えてるんだが…
カイル
- …突然、爆発したんだったね。
テレジア
- だが、ここにオレ達2人だけな事の理由にはなってないな…。魔術的なものなのか?
カイル
- うーん。イザベルかリョウが居ればそういうのわかったんだろうけどー…。カイルじゃあなぁー。
テレジア
- …オレで悪かったな。
カイル
- あっ、その。そういうつもりじゃなくて!ごめんって…!
テレジア
- その時だった。ピンポーン と不思議な音が突然その部屋に鳴り響く。
- なんだこの音は!?また罠でも……
カイル
- ……あ。壁に何か浮き出てる。『申し訳ないと思っている事を互いに3つ謝らないと出られない』…?
テレジア
- ……なるほどな。テレジアがああ言ったから仕掛けが作動した、という事か。
カイル
- えっ…と。じゃあ、いっぱい謝れば出れるんだね…?
テレジア
- ……。そういう、こと…になるな。
カイル
- じゃあ簡単ね!えーと。私はあと2つかぁ。
この前洞窟で転んで眠ってたオーガを起こしてごめんなさい!!
カイルの愛用してたカップを割ってごめんなさい!!
テレジア
- それに合わせてピンポーン、ピンポーン。と、二回続けて音が鳴る。
- やっぱりアレお前だったんだな。次はオレが言う番、か…。
カイル
- んー。でも、カイルってしっかりしてるし、そんな謝るようなことしてないと思うんだけど。
テレジア
- …………。
カイル
- まあそうだよね!カイルだもんっ。こんな何かやらかすのは私くらいだもんね?
テレジア
- ……。
カイル
- もう、思いつかないからってそんなだんまりじゃ……
テレジア
- ……わりぃ…。
カイル
- へ…。どうしたの。カイルも何かやらかしてたっけ。
テレジア
- ……ずっと、騙してて悪かった。オレは…
カイル
- オレは、人間じゃない。吸血鬼、と呼ばれている…それだ。
カイル
- ピンポーン 先程までと同じ音が響く。
- …な。そんな、こと。そんなこと気にすることじゃないよ!実は私だってホムンクルスだし!ね?
テレジア
- ……オレは、異世界から。この世界の人間の調査を任されて来た。お前達のパーティに加入したのは5ヶ月前、魔族の遺跡調査にお前達が来た時だ。
カイル
- ピンポーン。重苦しい空気の中でその音が変わらず響く。
- う、うそ。でしょ。私達は3年前に宿で、出会って、親父さんの提案で…っ!
テレジア
- ……パーティに混ざる時に、記憶を、改竄させてもらった。お前達のも、宿にいる他の冒険者の分も。
カイル
- ……じゃ、じゃあ。帰った時にごはんが一人分少なかったのって。
テレジア
- ……そういう、ことだ。
カイル
- そして、調査に来た理由、だが。
カイル
- この世界の人間の持つ魔力。それがオレ達の食事として十分なものなのか。それを……調べるため、なんだ…。
カイル
- ……私達を、食事…に?
テレジア
- …ああ。正確に言えば、魔力や生命力を血液を通して食事としている、だな……。どちらにしろ、お前達に危害がある事に変わりは、ない……。悪い…。
カイル
- 先程までとは違い、ピンポーンピンポーンピンポーン!と煩いほどに鳴り響くその音。その直後。何か重いものが動く音がして、その部屋から脱出するための通路が現れた。
- ……。
テレジア
- ……オレを、これから仲間として見れないというなら。ここで、殺してくれて構わない。
カイル
- …なに、言ってるの。それが嘘でも本当でも、アンタは…!
テレジア
- 5ヶ月は!私達と一緒にいたんでしょう!?だったら!
テレジア
- ……な、なにを。お前達を餌にする為に、来たと、言っただろう。
カイル
- それでも!アンタは!カイルは…!何度も助けてくれていたじゃない…!それが、仲間じゃなかったら何なのよ!
テレジア
- ……そう、か。だが…
カイル
- あーー!もう!!ならいいわ!嘘吐いてたならその報いを受けなさい!
テレジア
- ……あぁ。元よりそのつもりでいる。
カイル
- アンタは、これからずっと私のいう事聞きなさい!いいね!?
テレジア
- ……は?
カイル
- 何よ!文句は認めないんだから!!ほら、早くここから出てみんなを探すよ!
テレジア
- いやちょっと待っ
カイル
- 文句は認めません。
テレジア
- ……まったく、仕方ない。それに、従ってやろうじゃないか。
カイル