あの子が亡くなった日 8
体験談
- 次の日もまた次の日も、
お見舞いに生き続けました。
N
- 学校ではいじめがヒートアップし
持ち物が次々に姿を
消しましたが、
N
- 平気な顔で
毎日過ごしていました。
N
- だってあの子は
もうすぐ死ぬんです。
こんなことに構っている暇は
ないんです。
N
- おはようございます。
心音
- うん、おはよう。
N
- 元気ですか?
心音
- 元気元気。あのさぁ、
ユーチューバーって知ってる?
N
- 知ってますよ。
心音
- 中々面白いよねぇ。
N
- げらげら笑っちゃってさあ、
めっさ怒られたわぁw
N
- 声大きいですもんね。
心音
- そんなことを言い合って
笑っていました。
心音
- 月日は凄まじい勢いで
過ぎ去っていました。
心音
- そしてそれはいつか、
この子を置いていくのです。
心音
- 九月の終わりのある日、
私の誕生日をあの子は祝って
くれました。
心音
- 華やかに飾られた病室は
あの子のものなのに、
私の名前がたくさん書いてあって…
心音
- 泣きながら
あの子にありがとうを言った事を
覚えています…
心音
- 私の誕生日、七月だろ?
その頃には間違いなく
死んでんだよねぇ。
N
- だからさぁ、祝わせてよ。
N
- そう言って笑ってました。
心音
- 目を真っ赤にして泣きました。
心音
- 九月が、終わりました。
心音