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ひとり劇場

あの子が亡くなった日 6

実話

心音
おはようございます。
N
…あれ? 来たの?
心音
…はい。
心音
あの子は3DSで遊んでいました
心音
細くなって、真っ白になった
指が 懸命に
ボタンを操作していました。
N
学校は?
心音
…………休みました
N
なんで?
心音
…あなたとの時間はもう少ししか
ないから…
N
バ~カ
心音
え?
N
私はそんなことしてまで
一緒にいて欲しくないの。
あんたはあんたのやるべき事を
ちゃ~んとするの。
N
私は行きたくても行けないんだからさぁ、ちゃんと行ってよ。
ね?
N
すごく嬉しいけどさ…、
そういうんじゃないんだ。
N
な?
心音
…はい
心音
ごめんなさい。
N
いいんだよ、謝らなくて。
心音
…………
心音
あの子の優しい瞳を見ていると
すごく切なくなりました。
心音
こんないい子が、
もうすぐ死ぬ。
心音
学校のクズよりずっとずっと
先に、あの世へ旅立つ。
心音
気づいたら、学校でのことを
話していました。
心音
ぽつりぽつりと、
涙を流しながら話しました。
N
………
N
ごめんな
心音
…?
N
まあ、こうなるとは
思ってたんだけどなぁ。
あいつらがお見舞いに来たとき、
薬の副作用でゲロゲロ吐いてた
真っ最中だったんだよね。
N
ここに来たら苛められるぞ~って
いうつもりだったんだけど、
来て欲しかったんだ。
N
もう来なくていいよ。
辛いだろ?
心音
辛くないです…
心音
あんなのの傍にいるより、
こうしていた方が
よっぽど良い。
心音
あなたが死ぬ辛さに比べれば
あのくらいはどうってこと
ないんです……
N
…強いなあ。
N
まあ、うん。嬉しいよ。
ありがとうな。
心音
首だけこちらに向けて笑う
あの子は、
どこか寂しそうでいて
優しい顔をしていました。

7  

投稿日時:2017-03-31 08:40
投稿者:Key
閲覧数:8

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