制服
黒騎士は某マンガのパロ。B.A.B.E.L.には長くいたけどチルドレンとは会ったばかりの、原作初期のころ。
- ……なんだい、コレ?
シオン
- “コレ”、とはまさしく、目の前に突き出された黒い制服の事だ。良く観察してみれば、チルドレンと同じデザインの色違いと言ったところか。
- 制服だヨ!!シオンクン……
シルバー・ナイトのネッ!!
局長
- 名前はシルバー・ナイトなのに、制服は黒でイイんだ?
薫
- 甘い甘いッ!!そんなお堅い考えに囚われるB.A.B.E.L.ではないのダッ!!
局長
- これじゃあ黒騎士やんな?と尋ねる葵達に、局長が声を上げる。
- なんや、やけに意気込んでんな?
葵
- …だって、黒い服じゃないとシオンクン着てくれなそうジャン?
局長
- 局長がくねくねと本音を漏らした。全員がぶっこける。
- 結局 妥協やないか!!
葵
- まあ、チルドレンの制服も薫の要望で成り立ってるからな…
皆本
- 薫?
葵
- 薫ちゃん?
紫穂
- 皆本が何となく発した呟きにより仲間から一斉に視線を浴びせられ、ギクリと肩を揺らす薫。
- だって…だって……
スカート短い方が、超能力出しやす…!!
いでッ!?
薫
- 頭の上にたらいが落ちてくる。言わずもがな、葵の瞬間移動だ。
- 採寸してる割に短いな思てたわ!!
アンタのせいやったんかい!!
葵
- 私は可愛ければなんでもいいけどねー。
紫穂
- コラッ、紫穂!
局長室でお菓子を食べるんじゃないッ!!
皆本
- あっ、私のポ◯キー!!
紫穂
- いつもなら薫に頼んで奪い返してもらうところだが、彼女は葵との応酬に夢中で気付いていない。仕方なく頬を膨らませて俯く。
と、目の前に没収されたはずの赤いパッケージが見えた。
- はい、コレでよかったかな?
シオン
- 顔を上げると、その差し出し主はシオンくんだった。
視線をずらし、薫と葵の制裁に移った皆本へと向ける。
- じゃあ、今 皆本さんが持ってるのは…
紫穂
- 催眠。
すぐにその答えへと辿り着いた。それに、シオンは今自分の制服について話し合っているのではなかったのか。
- 君のためならすぐに駆け付けるさ。
なんたって、“黒いナイト” らしいからね?
シオン
- そうやって悪戯っぽく微笑むシオンくんに、なんだか気恥ずかしさを感じて目を逸らしてしまった。
なんだろう、ただの冗談のはずなのに、彼から受ける全てに別の響きを感じるのは……
- それで!!シオンクンッ!
局長
- ふわふわと漂っていた思考を引き上げたのは、局長の大きな声と机を叩く音。
- 生憎、僕はこの服が気に入ってるんだ。
シオン
- と、いうことは…
皆本
- やはりカ……
局長
- この敷地内で最も高い権威を誇る男は、がっくりと肩を落とす。
- ま、一般人からそう見えるように…
ぐらいだったら、やってあげなくもないけれど。
シオン
- 局長が勢い良く顔を上げる。薫達は頭に疑問符を浮かべているようだが、皆本はすぐにピンと来たようだ。
- ようするに、ノーマルからB.A.B.E.L.の特務エスパーだ って分かるようにすれば良いんだろう?
シオン
- シオンの胸元に、見慣れたロゴが浮かび上がる。
なるほど、この小さな道化師は制服の役割をしっかりと弁えているようだ。