証明
ラビとシオンのガチバトルin鍛錬場。みんな大好き原作のあのシーンらへんの時間帯だよ!文章は相変わらずいろいろ飛んでます。
- ストーリー補足
(紙上のインクに入れ込み過ぎる後継者としてあるまじき心情、そしてその板挟みとのストレスが溜まっていたことを見抜かれ煽られる。初めは飄々と流していたが、核心を突かれて静かに理性を手放すラビ。)
- ぶちん。何かが切れる音がした。
- いいぜ、やってやる。
ラビ
- (そう言って立ち上がったラビは、
イノセンスの槌を発動させた。)
- 真剣勝負さ
ラビ
- (恐らくコイツは、まだ他の誰もが知らない力を隠し持っている。)
ラビ
- …分かってんよ。純粋な力勝負じゃお前に勝てねェってコトぐらい……
知ってるか?ブックマンの本懐は“記録”じゃねェんさ。
ラビ
- ――“照合”。それこそが、オレらが果たすべき仕事。
ラビ
- ラビの奴…ブックマンとしての特性を使いながら、イノセンスでシオンに勝つつもりか
リーバー
- ………。
ブックマン
- (ラビは槌をバトンのように回転させ、華麗に受け止める。)
- ブックマンとエクソシストが両立できるってトコ、見せてやるさ
ラビ
- シオン。生憎、鎌なんつーのは振り切るためのモーションが限られてる。
分かるか?オマエの続け技にはパターンがあるんさ。オレはそれをずっと見てきた
ラビ
- (そう吐き捨てられたはずのシオンが、突然 攻撃コンボを変える)
- な…ッ!?
ラビ
- コイツ、こんなに自由な鎌捌きをするヤツだったか。
- 馬鹿兎、餅をつくのは楽しいかい?
…踊らされてることにも気付かないで。
シオン
- アレンの真似をしたソイツがニヤリと笑う。いや、笑うというよりも嗤うに近かっただろうか。三日月よりも鋭い歪みに、ある考えへと辿り着く。
まさか、今まで同じ動きで戦っていたのは――
- 態と…っ!?
ラビ
- 視界が急回転する。オレが声を発し終わる間もなく、気付けば鍛錬場の高い天井が真っ直ぐに見えた。刀傷が53本、完全に剥げ落ちたタイルが六枚、黒く変色した染みが…。
哀れなブックマン。無意識に記録できる才はあるのに、そのサガを忘れる方法一つ知らない。だからオレはいつまでも周りに染められないし、周りを染められない。時間差で、打ち付けられた背中がズキズキと痛み始めた。
- まだまだ弱いな、思った通りだ。
そんなんじゃあ、ブックマンもエクソシストも務まらないよ?
シオン
- シオンがこちらへ歩み寄って来る。手でも貸してくれるのか?敗者のオレに。半端者で自分の証明すらできないこのピエロに。
けれど、跪いたシオンが差し出したのは手ではなく言葉だった。オレ以外には聞こえないような、微かな声。
- ……強くなるんだ、ラビ。もう何も、両の手から零れ落ちなくて済むように
シオン
- その言葉を、オレは知っていた。オレたちは確かに弱い。それは方舟でティキとクロス元帥との戦いを見た時、思い知った事だ。
“まだまだ”、とは……シオンは単にオレを貶めようとしただけじゃあない。何か他の思惑があるのか?だったらソレは、一体なんなんだ。
今はただ、熱い背中に冷たい床の温度が移っていくのを認識する以外には、叶わないのだった。