セカンドの裏からしばらく
大馬鹿弟子に嫉妬する馬鹿弟子
- 黙れ。早くしないと撫でるぞ
マリア
- コワイ。殴るぞって言われるよりコワイ。
アレン
- (僕は両手を構えて後退った。一瞬だけ、目をぼんやりと逸らす。
そういえば、“彼女”はよく僕を撫でてくれたっけ?ここぞって時に、僕が一番欲しい言葉をくれて。
そうして今まで、彼女の優しさに甘えて、寄り掛かっていた。
…振り向かないと分かっているベクトルばかりで、彼女の苦しみからは目を背けたまま。)
アレン
- クロス
シオン
- 何だ、さっきから黙って
マリア
- (昔はピーチクと五月蝿かった奴も、年が経てば落ち着くのか?
茶化すように先生が言った。
しかしそれを投げられたオレはというと、咥えた煙草を吸いもせずに黙ったまま。
向かう視線の先。顔は十分に見えているクセに、んんー?と態とらしい程に覗き込む仕草。)
クロス
- なんだ、嫉妬か?
マリア
- (先生が愉快そうに目と口を細めた。
……確かに、今のオレじゃあ、撫でられるなんてのはこないだのアレが限度だ。
修行時代も終ぞ甘えることなどなかったが、確かにあったその定距離に、バカ弟子や…他の奴等がすり替わってるんじゃあないかと思う度に。確かに心は荒んでいた。)
クロス
- ああ、そうかもな
クロス
- (先生が拍子抜けしたような顔をする。
ザマーミロ、オレだってアンタに仇なせる。
こんなにも、どうしようもないことで。)
クロス