交錯する焦燥
打ち解けるエインズワース元帥と、それに焦るアレン。
- 交錯する焦燥
シオン
- しかし施術も無しに回復する身体とは。
便利なことだ。
マリア
- うーん。まあ、先生ほどの強さなら使うこともなさそうだけどねぇ。
ティエドール
- (ティエドール元帥は瓶底の奥で、チラリと神田を見遣った。)
アレン
- なーなー、イノセンスの能力自体は前の方が多かったんに、なんでそんなに強いんさ?
ラビ
- ……亀の甲より?
マリア
- 年の功〜ッ!!
ラビ
- (ピンポン!と机を叩いたラビが立ち上がる。)
アレン
- 流石ジュニア、言葉の知識も幅広いものだ。
あと何かむかつくから殺す。
マリア
- ひでェ!!上げて落とす作戦か!?
つーか、元帥が言わせたんさぁ〜!!
ラビ
- (態とらしく涙目のラビ。
いつもだったら楽しいやり取りのはずなのに、今だけは反吐が出そうだ。)
アレン
- この数百年、戦い続けてきたからな。
貴様ら若輩者とは違うんだ
マリア
- (暖かな笑いが響く中、僕は一人気を急いていた。
“マリア”が、“元帥”として溶け込み始めている。
前のほう?バカラビ。こんな所で、ブックマンらしい住み分けしなくてもいいじゃないか。
なんて、心の中だけの八つ当たりをしてみる。)
アレン
- (本当は分かっているのだ。
全く同じ姿で心を掻き乱す彼女を無理矢理元帥と呼び慕い、もう会えない彼女を上書きしていること。
僕らは聖戦に選ばれた手札。誰が欠けても、何を失っても、このゲームを進めなければならない。
……それが例え、今も心を濁す 大切なモノだったとしても。)
アレン
- (でもね、気付いてるんですか。
あの人がアナタをブックマンと、ジュニアと呼ぶ度に、綺麗な笑顔を貼り付けること。
なんで分かるかってそりゃあ、まるで昔の僕を見てるみたいだから。
そこから救い出してくれたのは、マリア、そして教団の皆。
そこにはね、ラビ。キミも確かに含まれているんですよ。)
アレン