びん詰めの少女
てすとてすと
- 起っきるのですよ〜っ!
メルク
- うわあっ!? なな、なんだ!?
ユウ(主人公)
- ってメルク!朝からそんな大声出すなよ!
ユウ(主人公)
- いつまでたっても起きない方が悪いのですよ〜!
メルク
- って、それどころじゃないのです!
メルク
- 癒術士なのです!癒術士が村に来てるのですよ!
メルク
- 癒術士って、モンスターを癒すために世界を巡ってるっていうあの癒術士か?
ユウ(主人公)
- そうなのです!癒術でモンスターを穏やかにできるあの癒術士なのですよ!
メルク
- って、どうしてそんなに他人事なのですよ!?
メルク
- あなただって癒す力が現れたのですから、癒術士になれるのですよ!
メルク
- メルクまで母さんみたいなこと言うなよ……。
ユウ(主人公)
- 俺は癒術士になる気なんかないっての。
ユウ(主人公)
- だいたいモンスターに好んで近づくなんて……。
ユウ(主人公)
- もう!いい加減そのモンスター恐怖症を治すのですよ!
メルク
- そろそろパン屋さんの看板モンスターから大幅に遠回りして村を歩くのは嫌なのですよ!
メルク
- ってメルクはびんから出られないんだから、疲れるのは俺だけだろ……。
ユウ(主人公)
- それで、癒術士がなんなんだよ?
ユウ(主人公)
- はっ!そうなのですよ!
メルク
- 私を癒術士のところまで連れて行って欲しいのですよ!
メルク
- ええ?やだよ。
ユウ(主人公)
- 母さんに知られたらまた癒術士になれってうるさく言われるだろうしさ……。
ユウ(主人公)
- ケチ! 見損なったのですよ!
長年の友達の頼みを断るなんて!
メルク
- ……だいたいどうして癒術士のとこに行きたいんだよ?
ユウ(主人公)
- まさかイケメン癒術士との出会いを求めて……。
ユウ(主人公)
- やめとけ?液体と固体の恋は難しいぞ?
ユウ(主人公)
- 頑固な固体と包容力のある液体、お似合いでは……、
メルク
- って違うのですよ!聞きたいことがあるのです!
メルク
- 聞きたいこと?
ユウ(主人公)
- 私のことなのですよ!
ずっと探してきましたが、これまで私のようなびん詰め美少女にあったことはないのです!
メルク
- いや、いっぱいあるぞ? あの戸棚の上の……、
ユウ(主人公)
- あれはびん詰めのマムシなのですよ!?
メルク
- ってそうじゃないのですよ!
メルク
- 私は私と同じ仲間を探したいのですよ!そうしたら私の記憶の手がかりも手に入るかもなのですよ!
メルク
- 俺に会う前の記憶がないんだっけ?
ユウ(主人公)
- なるほどな。それで、世界を旅する癒術士ならなにか知ってるかもってことか。
ユウ(主人公)
- そうなのです、私は自分が何者か知りたいのです!とりあえずびん詰めのマムシでない確証だけでも!
メルク
- たしかにずっと記憶がないこと気にしてたしな……。
ユウ(主人公)
- ま、メルクには色々世話になったし、連れてってやるよ。
ユウ(主人公)
- ほんとなのですか!
メルク
- ようやく私の魅力に……、
メルク
- もうちょっといろいろ成長してから言え。
ユウ(主人公)
- く、質量保存の法則が恨めしいのです……!
メルク
- 家の外へ