命綱
欲求を満たすことで日々を繋いでいた少年の話。
- 命綱
- 僕は甘いものを食べても満たされなくなった。
- それは僕にとって致命的だった。
- 食べても食べても食べている心地がしなかった。美味しいと思えなかった。
- ショートケーキ、モンブラン、マカロンにエクレア、シュークリームも大好きだった。
- それなのに…
- 今日の彼女たちは僕に冷たかった。いつもなら甘美な味を僕に提供してくれるはずなのに。
- 僕に愛想を尽かしたのだろうか。それとも僕の味覚がおかしくなったのだろうか。
- どちらにせよ僕は彼女たちに見捨てられたのだ。
- 彼女たちは僕の全てだった。それを失ったのだから文字どおり致命的だった。
- 僕にとっては。