魚と少年 第3話
オリジナル短編『魚と少年』の続きです。次ぐらいで終わる……かも。
- きっと、ロクでもない記憶
だったから思い出せないんだ
少年
- 自嘲めいた笑みを浮かべて、
- 少年はうつむいて言う。
- わたしは少年の様子に、
何も言えなくなった。
- それは、本当に忘れたい記憶だったのか?
魚
- 邪魔するなよ、サカナ!
少年
- 少年は魚を睨みつけて言う。
- 楽しい、
失くしたくない、記憶は
本当になかったのか?
魚
- 魚は落ち着いた声で、
- 諭すように話す。
- ………
わたし
- わたし……
わたし
- 何かを忘れている気がする……
わたし
- そうだ、
それを思い出すんだ
魚
- それを思い出すためには……
わたし
- もう一度、
あの場所に戻らないといけない――。
- ……その言葉が聞きたかったんだ
魚
- そう言うなり、魚は
- わたしの腹部に突進してきた。
- な………
わたし
- 何を……?
わたし
- 痛みが身体中に
- 走って
- 炸裂した。