ポケダン的なもの #2
少し評価が入っていたみたいなので続けます
- ……すぅ……すぅ
たなか
- ……
たなか
- ……いっくし!
たなか
- はっ!
たなか
- ……ここは
たなか
- 目が覚めたらそこは森の中と思われる場所だった
- 頬をつねってみる
- ……いてて
たなか
- 夢……じゃない?
たなか
- 体は相変わらずこのままだし
たなか
- ……というか……森の中に放りっぱなしだったのか僕
たなか
- 随分不親切だな
たなか
- ((……とりあえず歩くか))
たなか
- ((……見失った))
バン
- 逃げ足の早いやつめ
バン
- ……あっ
たなか
- ん?
バン
- おわっ!
バン
- どうしてここに……ここら一帯は立ち入り禁止の筈だが
バン
- えっそうなんですか
たなか
- すいません……目が覚めたらここにいて……
たなか
- 目が覚めたらって……よくわからん事を言うやつだな
バン
- とにかく、ここは立ち入り禁止だ
バン
- 危ないから早く帰った方がいい
バン
- 帰るっていっても……
たなか
- どこに帰ったらいいんでしょうかね
たなか
- いやオレに聞くなよ……
バン
- ……ん?
バン
- もしかしてお前、元は人間か?
バン
- えっ!……そうですけど
たなか
- なんで分かったんですか
たなか
- 住んでいる町に元人間が一人いるんだ
バン
- いや驚いたな……生きているうちに2人も人間を見ることになるとは
バン
- ((そういえばあの可愛い生き物が以前にも僕みたいなひとが結構いたって言ってたな……))
たなか
- 元人間となれば話が変わってくるな
バン
- 人間だったやつはなにか特別な力を1つ備えていると聞く
バン
- お前はなにか戦闘用の能力を持っているか?
バン
- え……わからないです
たなか
- そもそも戦ったこととかないし……
たなか
- ふむ……まぁ過ごしていくうちに能力が開花する場合もあるのか……?
バン
- 大抵は最初から能力を自覚しているものだときいたが
バン
- おまかせにしてもらったので……
たなか
- おまかせ……?
バン
- ((わからん奴だなほんと……))
バン
- ……む
バン
- ……?
たなか
- ……近いな
バン
- 何がですか?
たなか
- 立ち入り禁止になっている原因だな
バン
- 向こうから近付いてくるとはね
バン
- え……危ないんじゃ……
たなか
- 中には危ないものもいるが、あいつは大したことない。木の実を取りに来た町の住人にイタズラする程度だ
バン
- さっき僕に危ないから帰れって言ってたじゃないですか
たなか
- イタズラでも怪我をしないとは限らんからな。それに調査の邪魔になる
バン
- 調査……?
たなか
- あぁ。俺はアイツの調査に来たギルドの一員だ
バン
- オレの勝手な想像だが、ヤツが向こうから出向いてきたのは君のそのニオイが原因だろう
バン
- は?ニオイ……?
たなか
- 僕、ニオってますか……?
たなか
- 安心しろ。表現し難いが、悪いニオイではない
バン
- 安心するニオイ……というか、ううん
バン
- は、はぁ
たなか
- ((とても複雑な気分だ))
たなか
- 少し同行してくれないか、アイツはすぐに逃げてしまって厄介なのだ
バン
- ついていくだけなら、全然いいですよ
たなか
- 感謝する。住む所がないなら町に住むといい。後で案内しよう
バン
- オレはバン。君は?
バン
- 田中です
たなか
- よし。すまないがよろしく頼む、タナカ
バン
- 宜しくお願いします、バンさん
たなか
- 黒いオーラを纏った謎の生命体が何かを探すように彷徨いている
- ク……クキキ……ク……
黒いヤツ
- わざわざ向かってくるとは、馬鹿な奴だ
バン
- キッ!?
黒いヤツ
- バンに気付くやいなや黒いものは逃げようとするが、バンは目にもとまらぬ速さで前方に回り込む
- ハァッ!
バン
- キッ……!
黒いヤツ
- ……
黒いヤツ
- ……よし
バン
- 出てきていいぞ、タナカ
バン
- ふぅ……
たなか
- 木のかげに姿をかくしていた田中は顔を出す
- 一体何をしたんですか?
たなか
- 少し気をあてて気絶させた
バン
- 生き物……なんですかね、その黒いの
たなか
- さあな……それを調べる為に、サンプルを取ってくるよう言われているんだ
バン
- なるほど……
たなか
- 至る場所でこいつと似たようなものが発生している。原因を探る為我々ギルドも動き出したということだ
バン
- さて、採取させてもらおう
バン
- バンは黒いものの近くにかがみ込む。田中はその5mほど後ろで様子を伺っていた
- …………
黒いヤツ
- ……あっ
たなか
- ((……いま、何か変な感じが……))
たなか
- ((目が……合った……?))
たなか
- ……キッ……クッ……
黒いヤツ
- ……ッ!!!
バン
- 黒いものの纏うオーラは一瞬のウチに何十倍にも膨れ上がり、力を増していく
- 伏せろ!!!!タナカ!!!!
バン
- バンが声を上げた時には既に遅く、黒いものは田中めがけて猛スピードでむかっていた
- ……えっ?
たなか
- うわぁっ!!!!
たなか
- 爆音が森に響く。田中がいた場所は大量の土煙で見えなくなっていた
- ……クソッ油断した!!!
バン
- …………!?
バン
- 土煙が徐々に降りてゆく。少しづつ明らかになる光景をみてバンは驚きを隠せない
- …………
たなか
- ……あれ?
たなか
- キャ……キ……クキ……
黒いヤツ
- 全然痛くない……
たなか
- 目を閉じろタナカ!
バン
- 波動弾!!!!!!!!
バン
- …………ァキッ……!!!!!!
黒いヤツ
- うわっ!
たなか
- 2度目の爆音が森に響く。バンは一瞬で黒いものの横に移動し、至近距離で技を打ち込んだようだ
- ……
バン
- ふぅ……
バン
- い……一体何が……
たなか
- ……わからない。アイツの力が急激に何十倍にも膨らんでタナカに攻撃を仕掛けた
バン
- 攻撃……僕に……
たなか
- タナカ……お前はそれをまともに食らった。オレでもあれを無防備な状態で食らったらたたじゃ済まなかったと思う
バン
- そしてそのあと、オレの波動弾に当たってないとはいえ至近距離に居たんだ。普通は気絶していてもおかしくない
バン
- ((あれ危なかったのか……))
たなか
- どうやらお前の能力は戦闘方面についているみたいだな
バン
- マジですか……
たなか
- …………戦闘は嫌いか?
バン
- え……
たなか
- 嫌い……ってのはないです
たなか
- ただ、やったことが無いだけで
たなか
- ……そうか
バン
- 町に住めといったが、事情が変わったかもしれん
バン
- ……?
たなか
- サンプルは取れた。ギルドに案内しよう。ついてこい
バン
- ……強引ですね
たなか
- 固いこというな。悪いようにはしない
バン
- あ、悪役がよく言うセリフ。
たなか
- フフッ……悪そうに見えるか?
バン
- 嘘ですって、すいません
たなか
- 責めた訳ではない。タナカといったな。そちらの世界での本当の名前の書き方もあるだろう。あとで教えてくれ
バン
- あ、はい
たなか
- ……少し事務連絡をする
バン
- ……
バン
- こちらバン。サンプルは無事確保。あと恵みの森で元人間を保護した。能力は戦闘向きのようだからギルドへ同行させる
バン
- こちらハトムギ。元人間ですって!?……了解。サンプル採取感謝するわ
通信機(ハトムギ)
- あぁ。では切るぞ
バン
- はーい
通信機(ハトムギ)
- ……通信機だったんですねそれ
たなか
- これはギルド所属の証のバッジだな。通信機能もある
バン
- ハイテクだなぁ
たなか
- ギルド所属技術担当のハトムギがすべてのバッジをテレパシーで繋いでいる。バッジを無くしたら連絡も取れなくなるから落とさんようにしないとな
バン
- ((妙に原始的な謎テクだった))
たなか
- タナカもギルドの所属が決まったら無くさないように気をつけるんだぞ
バン
- えっ、ギルド……?
たなか
- そうだ。リーダーにお前をギルドに加盟させるよう頼んでみる
バン
- ギルドに加盟……ですか……
たなか
- あぁ。もし加盟が決まったら何度か戦うことになるかもしれん
バン
- それでさっき戦いが嫌いかどうか聞いたんですね
たなか
- 戦力はあるに越したことはない。寝床や食事はこちらで用意するから、少し手を貸して欲しいということだ
バン
- ……安心してくれ、危ない場所に1人で行かせるようなことはさせない
バン
- ……わかりました。行く宛もありませんでしたし、こちらとしてもありがたいです
たなか
- ありがとう……ギルドまでまだ歩く。色々とこちらの世界の説明でもしながら歩くとしよう
バン