08章「その力は死を見つめている」3
ストレリチア本編
- 〜ウェネーヌム卿の屋敷 訓練場〜
- 触媒に使うのは、毒性のある物なら何でも良いです。今回は毒魚の肝を使用します。
ミュゲ
- 手に乗せ、魔力で包み……
ミュゲ
- 打ち出します!
ミュゲ
- 毒魔法を浴びせられた低木はみるみる枯れた
- すご〜
ヒエラ
- 良いではないか。
動物には当然効くのだな?
ヴィローサ
- 人間であれば、毒魚の肝は効きすぎるくらいです
ミュゲ
- 大人数で使用する場合は、乾燥させた毒草を使うのが現実的ですね
ミュゲ
- 魔法の心得のある人間なら、触媒式の練習をすれば短期間の訓練で使えるようになります。
ミュゲ
- 練度を上げれば媒介物無しでも、十分な効果が得られるはずです。
ミュゲ
- 以上が毒魔法の使い方です。
ミュゲ
- 俺でも使える?
ヒエラ
- できると思う
ミュゲ
- 良い心がけだ。まずはお前達が使えるようにならんとな
ヴィローサ
- 毒物だから、直接触らないように気をつけて
ミュゲ
- ミュゲは毒魚の肝の乗った小皿を、ヒエラの手に乗せた
- で、これを?
ヒエラ
- 触媒法はやったことある?
毒粉の力を魔力に込めるの
ミュゲ
- できたら……打ち出す
ミュゲ
- よっと!
ヒエラ
- ほんっとに簡単だねぇ
ヒエラ
- 最も簡単なのは鉄砲みたいに打ち出すやり方。慣れたら複数方向に飛ばしたり、雨みたいに降らせたりできると思う
ミュゲ
- 貸してみろ。私も試そう
ヴィローサ
- どうぞ
ミュゲ
- ヴィローサは毒魔法を撃ち出す。
2発目には、2方向に撃ち出した。
- ふむ
ヴィローサ
- ウェネーヌム卿、使いこなすの早いです……
ミュゲ
- ウェネーヌム卿は貴族学校で魔法の成績トップだったんだって。ひと通りの属性は使いこなせるってさ
ヒエラ
- 随分昔の話だがな。
ヴィローサ
- カトランの毒魔法……これなら私ほどの才がなくとも、短期間で使えるようになる。
ヴィローサ
- しかしだ。いつまでも危険な毒物を携帯させるわけにもいかない。媒介法なしで使うにはどう指導する?
ヴィローサ
- 火や氷と同じです。毒物の情報を覚えていれば、それを再構成するだけです。
ミュゲ
- 覚えていろとは?
ヴィローサ
- 毒物を摂った時に起こる症状……痺れ、めまい、吐き気といったものです
ミュゲ
- 当然、皆さんそれらを避けるように生きてきたはずです。ですが、中には食当たりの経験ですとか、食べると具合の悪くなる物をお持ちの方もいます
ミュゲ
- そういったものに当たった時の感覚です。あれらも簡単に言えば毒によって起こるものなので
ミュゲ
- 当人が生きているなら大した毒ではあるまい。
それで兵器になるほどの力が得られるとは思えんな
ヴィローサ
- それが毒魔法最大の課題でした
ミュゲ
- 手荒ですが、死にはしないくらいの毒を服用してもらい、症状を覚えてもらったところを解毒魔法で治し、感覚を覚えてもらうのが、触媒法を卒業する最も早い方法です
ミュゲ
- 体重に対する毒の許容量の計算はできます。
解毒魔法を使える人間さえ確保できれば、私の立ち会いのもとに記憶想起法は実行可能です
ミュゲ
- 苦しいので、やりたい人は少ないかと思いますが……
ミュゲ
- ですので、火や氷の魔法を習得するのと同じように、地道に練習するのが安全です
ミュゲ
- 手荒すぎるけど、確かにやったことない魔法ってイメージわかないから、使うに使えないよね
ヒエラ
- 毒は経験すれば最悪死ぬ特性のために、強力に使うには難のある属性だな
ヴィローサ
- 逆に、具合悪くさせるだけだったら、食当たりレベルの経験でいいってこと?
ヒエラ
- そういうこと
ミュゲ
- 早速アクロアイトに教えろ。
ニベはすぐに習得するだろう。アジーンやユナカイトもな
ヴィローサ
- ジェットくんは?
ヒエラ
- あやつはいつまでかかるか分からん
ヴィローサ
- 魔法の苦手な方のサンプルは取れていないので、助かります。改良に役立てるかと
ミュゲ
- アクロアイトが済んだら私兵団に指導しろ。やつらも魔法の得意な者と苦手な者がいるだろう
ヴィローサ
- はい。指導に移ります
ミュゲ
- では、私は執務に戻る
ヴィローサ
- ---
- アクロアイトは夕方には戻るみたいだよ
ヒエラ
- わかった
ミュゲ
- ヒエラは?
ミュゲ
- 特に大事な予定はなし
ヒエラ
- じゃ、一緒にいて良い?
ミュゲ
- いいよ
ヒエラ
- ……ウェネーヌム卿に納得してもらえて良かった
ミュゲ
- けど、やっぱりこれは人をたくさん殺してしまう技術……
ミュゲ
- 怖いな……
ミュゲ
- そのために作ってるからね
ヒエラ
- とにかくひと仕事やりきったね。アクロアイトが帰ってくるまでちょっと休憩して、指導の準備しようか
ヒエラ
- うん。それとね
ミュゲ
- 頭撫でてほしい
ミュゲ
- なんで?
ヒエラ
- 昔、何か達成するとお師匠さまが撫でてくれたから
ミュゲ
- 甘えん坊か〜
ヒエラ