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ひとり劇場

子供を育てていたのに虫を育てていた話

虫嫌いなら見ない方がいいかもー

自分が子供を育てていた頃の話
最近よく思い出すから
書いてみる
子供が亡くなった時の話なんだが、
普通、子供が亡くなったら親はなく
だが、俺は違った
やっと考えなくて済む
これで自由だ
安堵した、と思った
今からはなす話は無責任な奴の愚痴だと思って聞いて欲しい
2009年位の夏、子供が産まれた
とても可愛く、愛おしい
この子のためなら何だってできた
そのくらい可愛かった
ちなみに性別は女の子だ
あぁ、、、。幸せだ、、。
もちろんのこと
長くは続かない
3歳くらいの頃だろうか
その頃から多分おかしかったんだと思う
虫をちぎっていた
石で潰したり、握ったり
時には口に咥えてしゃぶっていた
ここまではまだ良かった
ここまでなら「あぁなんだ、遊んでるのか」
までで済んだ
「この子はまだ子供、それに成長したら虫なんか嫌いになっているだろう」
だが、
そんなことはなかった
日々酷くなる虫殺し
料理に虫を入れた事だってあった
嫌だ
自分は虫はあまり嫌いでも好きでもないが、
今ではすっかりトラウマだった
自分は何故か、5歳という年に執着していた
5歳くらいになったらやめてくれるだろう
そんな想いもすぐに打ち砕かれた
エスカレートしていた
何故そんなことするのか
相談した
可愛く笑いながらこう言った
「だって、可愛いんだもん」
自分は無理矢理にでもこの事をやめさせた
子供をこんなにも怖いと思ったのは初めてだ
そして初めて怒鳴った
怒鳴ってしまった
この日から虫を潰す事を見なくなった
良かった
なんて思うのもつかの間
それは幼稚園の時期の頃
こんな噂を耳にした
住んでいる場所は割と田舎だったのか
みんなが知っていた
幼稚園で、虫が大量にいる
と言った話
だがなぜこんな馬鹿らしい話が噂なんだ?
理由はすぐわかった
その虫はウジ虫だった
気味の悪い話だ
だが、少し不安だった
まさかあの子が、
そんな不安はすぐに当たった
ある日の夕方
俺はある一本の電話を受けた
お宅の子が私の子に虫を食べさせた
一瞬で凍り付いた
気付けば自分は幼稚園の前に居た
うちの子は喧嘩?で虫の入ったご飯を無理矢理食べさせたらしい
相手の親は炎のように怒った
土下座をしろといったり
それを保育士さんが止めたりと
忙しい一日だった
だが俺の頭は真っ白だった
もちろん、虫入りご飯を食べさせたことが問題なのだが
何かがおかしかった
なんでそんな物もっていたんだ、と
家に帰り、娘(今更ながら、名前を花にする)を問いただした
花はまたあの時のように笑いながら
「あの子ダサいから、虫を食べたら虫みたいにかっこよくなるかと思ったの」
衝撃だった
子供の無垢さに恐怖し、
純粋さに気分が悪くなった
もちろんの事だが、幼稚園をウジ虫だらけにしたのは花だった
幼稚園をかっこよくしたかったらしい
この時に虫に執着することを無理矢理にでも
やめさせていれば良かった
だが将来に止めると
本気で考えていた
そう思い込んでしまった
小学校の時は何故か虫癖をやめていた
すっかり幼稚園の頃を忘れていたあの子
いつの日か
学校の事の話を聞く事が自分の日課になっていた
この6年間の日々が一番幸せだった
もちろん反抗期もあった
ちなみに嫁は浮気し、逃げた
そんなことどうでも良かった
ただ今は幸せを噛み締めていた
だがその日常は一日で消えた
ある日の夏の夜、小学六年生だった頃
ご飯の為呼びに部屋に入った時、
花は裸で寝ていた
普通ではなかった
ブランケットでも羽織っているのかと思った
全然違かった
おびただしい量の虫だった
体をうねりながら花の体を触る
俺は咄嗟に大声を出してしまった
すると今更気づいたのか
胸を隠しながら
ノックしてよ
まだ虫が居る事が普通のように
話した
花は小学校の頃、おとなしいわけじゃなかった
小学校の時
虫を集めていたのだった
自分の体を這い回る感触が好きらしい
芋虫やウジ虫
さらにはムカデやゲジゲジ、ダンゴムシなど
様々な物を集めては、体を這い回らせていた
淡々と話していたが耳に入らなかった
この時、自分の子供ではないことが分かった
そして、自分の手には負えないと感じた

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投稿日時:2023-12-11 02:08
投稿者:バニラアイス

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