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ひとり劇場

死んでもいい事ないんじゃない?

死ネタです!創作。幼馴染の女の子の話。

黒い人間🖤
死んでも良い事ないんじゃない?
黒い人間🖤
「死にたい。」幼馴染にそう言った。もう疲れたのだ。テストで良い点数を取っても、どれだけ可愛くなっても親には認めて貰えない。きっと自分を好きじゃないんだろう。幼い頃は良かった、素直で可愛かったんだ。今の自分はどうだ。ちっとも可愛げがない。勉強に打ち込み、いわゆるガリ勉となってしまったこんな自分と仲良くなってくれる人なんていない。…いや、1人はいた。ずっとそばに居てくれた幼馴染。ずっと笑顔で、私を否定しないでいてくれた私のたった1人の友人。そんな幼馴染に私は言った。「死にたい」と。でもどうだ?幼馴染は笑った。「馬鹿だね」私が馬鹿?うるさい、コイツは何も考えなくて良いよな、親が金持ちで、したいことできて。「死んでも良い事ないんじゃない?」そんな事を言われた。生きる意味がないじゃないか、だから死ぬしかない。「馬鹿だね」今日で2回目だ。こいつに相談した私が馬鹿だった。たった1人の友達。
翌日の朝。じゃあね、逝ってきます。そんな事を思いながら学校の屋上で今、死のうとしている。
ガシャン!
幼馴染が走ってこっちに向かってくる。
死んでも良い事ないんじゃない?幼馴染が下を向いてそう言った。何回も言わせるな、もう死ぬんだ。そう言って屋上から飛び降りた。するとアイツも私めがけて飛び降りた。本能でわかった。私はコイツと死ぬんだ。空中で私達は抱き合い、今までありがとう、と感謝した。人間とはこんなに温かいんだな。
最後に声がした。
死んでも良い事ないんじゃない?
今言うか?それ。もう何も考えられない。でもこれだけはわかる。
お前と死ねて幸せだ。私達は見つめ合い、抱き合いながら永遠の長い眠りについた。
黒い人間🖤
「死にたい」幼馴染が突然口にした。頭も良くて、物凄く可愛くて、クールなこの子が。驚いたが、すぐ受け入れられた。この子の親は貧乏で、そのくせ子供に好きな事をさせず愛を渡さなかった。前まで愛嬌があったが、最近は笑みの一つ零さない。体の肉も減り、青白い肌。まるで綺麗なゾンビみたいだ。自分は何もできない、なんて思ってるのだろう。でも私は知っている。この子が誰よりも努力している事を。だから私はこの子といる。もっと仲良くなりたい。なのに死んでしまってはかなり困る。「馬鹿だね」私は泣きたいのを隠すように笑いながら言った。彼女は怒ってしまった。「死んでも良い事ないんじゃない?」そんな事を言った。この子は死にたがっている。私は幼馴染を否定しない、幼馴染は全て当たっているのだから。でも、だからと言って否定しないのはダメだ。私が幸せになれないじゃないか。君がいなきゃ私は幸せになれない。「馬鹿だね」また言ってしまった。きっと彼女は自分に言っていると思っているのだろう。だが私は私に言っている。本当馬鹿だ、彼女のようにクールで冷静に物事を考えなければ。嗚呼、行ってしまった。「待って」その言葉は、喉が痛くて、涙が出て、鼻が痛くて、言えなかった。
彼女が屋上にいるらしい。教師は私を彼女の執事とばかりに扱ってくる。悪くないが、執事ではなくただの親友だ。私は早く学校に来て彼女を待っている。一緒に来てくれないのだ。運動場に影ができている。嗚呼、夏が始まったな。ジメジメしてきた。そんな事を思いながら地面を見てみると、人型の影が見えた。私のではなく、屋上に誰がいるのだろう。私はまさかと思った。走って走って走った。屋上に着いた。やはり、幼馴染は私にも会わず自殺しようとしていた。彼女の方へと向かいながら言った。死んでも良い事ないんじゃない?彼女の顔を見たいのに見れない。地面から顔が離れないんだ、涙が零れ落ちてきた。こんな顔彼女に見せられない。彼女はもう死ぬんだ。そう言って飛び降りた。知っていたよ、君が飛び降りる事。何年一緒だと思ってんのよ。私は彼女に抱きつくように飛び降りた。私と彼女は2人しかいないこの世界で、浮きながらではあるが、抱きしめ合い、笑顔で地面に打ち付けられた。もちろん抱き合っている。
死んでも良い事ないんじゃない?
最後に言うセリフはこれで本当にいいのだろうか、まあ、良しとしよう。彼女と死ねたのだから。死ねるのだから。
大好きだよ、ーーー。やはり最後は君の名前で締めたい。だが、聞こえてないらしい。
最後の力を振り絞り、掠れた声で、私しかいない世界で彼女への愛を叫んだ。
最後の朝、幼馴染と共に私は眠る。
愛しているよ、ーーー。
黒い人間🖤
完結

5  

投稿日時:2023-06-28 00:02
投稿者:キャプテンシロ
閲覧数:17

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