3章「誇れぬ烏は笑わない」5
- 3章「誇れぬ烏は笑わない」5
- 治療は済んだか?
コルネイユ
- 随分賑やかだったね。何があったの?
シュエット(若)
- アーテルの帰り道で敵襲があったのよ
スカーレット
- クリムゾン隊を助けに、カメリアとターミガンが出ていった
スカーレット
- アーテル、これで大丈夫?
カリンカ
- ありがとうございます、助かりました
アーテル
- ただいまー!
ターミガン
- やれやれ……
クリムゾン
- 帰ってきたようです
アーテル殿の成果を聞かせてあげてください
ヘデラ
- 足怪我したんだって?大丈夫?
ジェンシャン
- はい。痛みは引いてます
アーテル
- 早速だけどウェネーヌム邸で仕入れた話、聞かせてくれ
カメリア
- ウェネーヌム卿は新たな魔弾銃の発展に意欲的です。それから、毒魔法というものを開発支援しています
アーテル
- 毒魔法がどういったものかは多く語りませんでしたが、呪いよりも習得が簡単で、広範囲に効果のあるものと言っていました。
これを兵士に教えて活用するつもりだと
アーテル
- 毒魔法を開発している奴はどこにいるんだ?
コルネイユ
- すみません、その方の詳しい情報は取れていなくて。自由人とは言っていましたが……
アーテル
- ヒエラが今度その方の家へ伺うと言っていましたが……
アーテル
- 残念だぁ〜
ジェンシャン
- てか、毒魔法って昔からあるよな?
あんま使ってるとこ聞かないけど
カメリア
- 昔からあったけど、使い手として有名な人って知名度ないわね
スカーレット
- そもそも原理がよくわからなかったんだと。だから教えようとしてもイマイチ広まらなかったんだろ
クリムゾン
- 普通に毒矢とか使った方が早そう
ジェンシャン
- 俺の故郷でも植物毒の矢を使うが……魔法は聞いたことがなかった
ヘデラ
- 毒ぅ?なんでそんな周りくどいやり方するんだ?普通に殺したらダメなのか?
ターミガン
- 足手纏いを作るためだと思う。
戦場で死に切れてない味方のうめき声ってのは、ずっと聞いてるとマトモな奴は精神的にやられる
クリムゾン
- 死に損ないは殺さず生かさず、敵の戦意を削ごうってか
クリムゾン
- 毒魔法、どんな感じだろう?
カメリア
- 毒霧のようなものだろうか……?
コルネイユ
- 毒霧を吐く魔物を退治しようと軍隊出して、部隊丸ごと毒にやられた話を読んだことあるよ。それを魔法で再現する感じ?
カリンカ
- 他にそれっぽい例はあるか?
カメリア
- 炭鉱だと、採掘中に変なガスが出て人が死ぬことがあるよ。範囲の話と一致するかな
ジェンシャン
- 炭鉱は換気できないから、変なガスがすぐ充満しちゃうんだよね。
屋外だとガスは散るし、自分も巻き込むじゃん?
ジェンシャン
- となると、毒矢の雨みたいのが毒魔法かなあ
ジェンシャン
- 毒矢の雨……
スカーレット
- これは想像だけどさ、ピエリスさんが簡単にやられた理由って……
カメリア
- あの時、毒魔法を受けてたんじゃ……
カメリア
- 死因自体は斬撃だったと考えられているけど、毒で身体能力が鈍っていたのなら、頷ける話ね
スカーレット
- 魔法の傷となると、一見無傷に見えるかもしれん
コルネイユ
- じゃあ、当たったばっかりの時は何なのか分かんなかったのかな?
ターミガン
- 体に入っても効くまで時間のかかる毒もある。少しの間は動けたのだろう
ヘデラ
- シュエット、刺客が何人来てたとか分かるか?
クリムゾン
- あの日、夜警に出ていた人ならわかると思うよ
シュエット(若)
- 誰かいるか?あたしとターミガンも、クリムゾン隊もあの日はいなかったろ?
カメリア
- ルピナスサンは?
ターミガン
- あの子確か夜警いたはずだよ!
ジェンシャン
- 彼女は鼻が効く。俺たちには感じ取れない手がかりが、彼女の中にあるかもしれない
シュエット(若)
- 早速聞きに行きましょ!!
ターミガン
- ルピナスさんは、もう寝ているかと。
また明日聞いてみましょう
アーテル
- 気になって夜も眠れないよ〜!
カリンカ
- ちゃんと寝ろ
クリムゾン
---解散後、夜道---
- アーテルを怪我させて帰したら、お兄さ……リリィさんに怒られちゃうね
カリンカ
- 心配性なので……。
私から説明しますから、大丈夫ですよ
アーテル
- アーテル、家族がいるのか。お前は表の世界から来たと聞いたが
コルネイユ
- ええ、一緒に逃げてきました。
今は町の一角でバーを営んでいます
アーテル
- 東地区のローザという小さなお店です。良かったらコルネイユさんも飲みにきてください。おつまみも出してますよ
アーテル
- ふむ
コルネイユ
- リリィさん、人を殺めてストレリチア地区へ来たんだ。お店行った時に本人から聞いたよ
カリンカ
- 妹のアーテルを守るために、何もかも捨ててきたんだって
カリンカ
- そうか。お前は人を殺した兄といられて幸せか?
コルネイユ
- はい。たった1人の肉親ですから
アーテル
- ストレリチアで働くことになった時は、ずいぶん心配されましたが……今は無事に帰ってくると信じてくれています
アーテル
- なぜそんなことを聞くのでしょう……?
アーテル
- 似た事例を知っている。
今後の参考にさせてもらおう
コルネイユ
- まあ。その方の幸せをお祈りします
アーテル
- (残念ながら手遅れだけどね……)
カリンカ
- アーテルは、リリィさんが大好きなんだね!
カリンカ
- ええ、とても
アーテル
- たとえ何人殺していたとしても、大好きな家族です。ずっと私に優しく接してくれていた事実は消えませんから
アーテル
- それに、人殺しが怖かったら、ストレリチアにはいられませんよ
アーテル
- あはは!確かに!
カリンカ
- ふむ
コルネイユ
- あ!コルネイユさん笑った!
カリンカ
- え?!今の笑ってたんですか?!
アーテル
- もう1回お願いします!
アーテル
- 断る
コルネイユ
- 残念です……
アーテル
- カリンカさんは、どうしてコルネイユさんが笑っているのが分かるんですか?
アーテル
- すごく微妙に口元が緩むんだよね。
毎日見てないと分からないと思うよ
カリンカ
- 情報部の中でも、コルネイユさんは特に表情が読めないと評判の方ですが……カリンカさんには分かるのですね。すごいです!
アーテル
- でしょ?僕、コルネイユさんの笑いのツボを徹底調査して、いつかコルネイユさんを爆笑させたいんだ!
カリンカ
- 素敵な夢ですね。協力しますよ
アーテル
- それができた時には、お前たちに敏腕諜報員の称号をくれてやる
コルネイユ
- ほんとー?!頑張ろっと!
カリンカ
- 解散前にいい話が聞けて良かったです
アーテル
- わざわざ送ってくださって、ありがとうございました。おやすみなさい
アーテル
- とんでもない。夜道に女性を1人で歩かせるなんて僕のポリシーに反するからね!
カリンカ
- おやすみなさーい
カリンカ
- よい夢を
コルネイユ
- アーテルの自宅のドアはパタン、と閉まった
- コルネイユさん挨拶固いよー
カリンカ
- 馴れ合いは不要だ
コルネイユ
- むー
カリンカ
- ね、僕とバイバイする時はおやすみなさいって言って?
カリンカ
- コルネイユさんの『おやすみなさい』が聞きた〜い
カリンカ
- 必要と判断したらな
コルネイユ