滞在許可のタグ
創作です。
- ここでは身につけておかないといけないのは分かるが、やはり美しくないな…コレは…。
ジェダイト
- 本当に。もう少し何とかいいデザインにはならなかった物かな。
ネクロード
- 場所は研究室。研究に参加するため訪れた二人は、自分の首に下げたドッグタグを指で弄びながら呟いている。
ナレーター
- 滞在許可の証…でしたっけ?軍人の方々も同じようなものを着けていますが、お二人の物とは何か違うんですか?
グレイヴ
- あぁ、基本的には同じものだけれど、少しだけ違うんだ。
ネクロード
- まず、アクセサリーとしてのドッグタグと違う部分が、これだな。
ジェダイト
- 首に下げたドッグタグを裏返して見せるジェダイト。ゆれるタグが鎖に擦れ、チリチリと音がした。裏面にはいくつか浅い穴や溝が掘られている。
ナレーター
- この穴が鍵になっていて、専用のリーダーに差し込むとタグと紐付けられた映像を見ることが出来るんだ。家族や恋人。色々あるだろうが、彼らに宛てたメッセージビデオを個人的に撮影しておいて、シリアルナンバーを発行し、その番号をタグに刻印しておくんだな。
ジェダイト
- なるほど。
グレイヴ
- 軍人はこれをメッセージビデオを残すために使っているけれど、我々の場合はそれを応用しているんだ。
映るのは自分ではなく、管理者…我々の場合はレディ・アキトだな。
ネクロード
- 吸血鬼を保護している責任者が、吸血鬼の身分証明をするために自己の情報や保護している吸血鬼の情報を読み上げた動画を入れている。
ネクロード
- 要するに、これが我々の身分証だということだ。正体を怪しまれる事が有ったら、その動画を見せれば証明される、という事だな。
ネクロード
- まぁ吸血鬼を保護する、なんて事はイレギュラーだから、即席で対応したといったところだろう。
ネクロード
- なので、タグをぶら下げて置かねばならない、という事だな。
ジェダイト
- まぁ基地を出たら人の姿に化けるし、服の中に隠すけれど。
大体コーディネートに困るだろう?
ネクロード
- 全くだ。それにどうせすぐに出せれば良いわけだから、隠し持っておいてもいいだろう。
ジェダイト
- (そういうものなのでしょうか…?)
グレイヴ
- 便利なものでもあるけれどね。兄さんなんか、機嫌の悪い時に見せれば大人しくなるし。
ネクロード
- 麗しいレディが見られるのだから当たり前だろう…
ジェダイト
- いたずらな笑顔でネクロードに囃され、ばつが悪そうにジェダイトはそっぽを向いた。
ナレーター