夏。
※💗(くん)の登場
- 夏の風。それは私にとって心地良い物だった。
???
- 昔から、夏は好きだった。
心の底から兄弟を愛せるような
そんな気がしたから。それだけ。
???
- あ、ーーじゃん。はよ。
さとみ
- あ、さとみくん。おはよう。
???
- はー、今日からテスト期間だぜ?まじで学校終わってるわ。
さとみ
- …別の学校ではもっとテストの量多いらしいけれど。
???
- …ここの学校で良かった。
さとみ
- ねぇ、私の妹知らない?
???
- 知らね。そこら辺でうろついてんじゃね?
さとみ
- ここは何も無い田舎だった。
歩けば知っている人がいて。何処か窮屈に感じた。
???
- …そうだよね。
???
- 学校行くか
さとみ
- ん
???
- そう言って私達は歩き始める。
これが私達にとっての日常だった。
生徒の人数は約150人。
因みに高校だ。
人数が少ないのにテスト期間はある。
1年生は55人
2年生は53人
そして3年生は42人
私達は3年生。もうすぐ…と言っても、
まだ7月に入った辺りだ。
???
- 7月でこの暑さか…あっちーあっちー
さとみ
- …あ、そういえばあのテレビ番組見た?
???
- あー、見た見た。
面白いよな。
さとみ
- 関係としてはただの【他人】
だけど、私達にとっては
これぐらいの関係が一番良かった。
???
- 何気ない会話が、
何気ない笑いが、
何気ない言葉が。
今考えたら私の全てだったのかもしれない。
???
- …え?
???
- その話を聞いたのは、学校に帰ってすぐのことだった。
さとみ
- …嘘よ!そんなはずない!
昨日まであんなに元気だったんだよ…?
???
- …うるさいなぁ、どうしたんだ?
さとみ
- …弟が、死んだって。
???
- …あぁ、そうか。大変だったな。
(…あぁ、やっぱり)
さとみ
- ぐすっ…ぐすっ…
???
- とある2年生の教室で、こんな噂が流れた。
さとみ
- 「ねぇ、知ってる?」
「なになに?」
「3‐Aのクラスに「睦月青藍」っていう先輩がいるんだけど」
さとみ
- その先輩
さとみ
- 一人っ子なのに夏に必ず
「妹がいる」やら「弟がいる」
って、言ってるらしいよ?
さとみ
- なにそれ〜こわ~い!
さとみ
- しかも、その先輩の友達に「さとみ」って先輩いるじゃん?
さとみ
- あぁ、あのモテモテの
さとみ
- そうそう。
さとみ
- その先輩さ、
さとみ
- 青藍先輩の事に気付いていながらも
いつまでも一緒にいるんだって。
さとみ
- …あのなぁ、俺の主人の噂、やめてもらえる?
さとみ
- …あら、ごめんなさいね。
さとみ
- …次、またお前と会えた時には、
記憶、引き継いで居ることを願っているよ。
勿論、心の底から。
さとみ
- …私も。
青藍
- …?…そんな訳ないか。
さとみ