死刑囚をお食べ
食糧不足を補うためにも死刑囚を食いましょう。
- 『死刑囚をお食べ』①
語り手
- 「あ?あの女は今何と言ったのだ?」
長
- 周囲がざわつく。
語り手
- 「えぇっとぉ〜、そのぉ、」
警備員
- 口を開いたのは1人の警備員だった
語り手
- 「こんな研究会場の場で発言するのも烏滸がましいのですが,先ほどあの方はこうおっしゃいました。」
警備員
- 「死刑囚の肉を凝縮させて魚の形に変えて店に売り捌いてみんなで食べましょう」
警備員
- もう一度周りがざわめいた。
語り手
- ここは某大学の研究会場。頭カチカチの研究者のみが発言を許される場所でもある。しかしそこに1人の女がこの発言のためだけにここに押し入ってきたのであった
語り手
- 会場の長らしき人物が咳払いをする。
語り手
- 「ゴホンゴホン、えぇ〜そこの女よひとつ質問がある」
長
- 「はい?何でございましょうか。」
赤い女
- 会場のど真ん中に立っていたのは真っ赤なハイヒールを履き真っ赤なドレスを着て真っ赤な口紅をしたとても細く美しい女性であった。
語り手
- その女は長い前髪をかけ上げながらこう言った。
語り手
- 「質問ならいくらでもお受けいたします。」
赤い女
- 長は質問するのに少し抵抗があったのか女が話してから長が話すのに少しの間があった。
語り手
- 「スゥー、どうしてそう思うのかね?」
長
- 長は自分の言っていることが無駄であると思っていた。こんな何処のやつかも知らん阿呆に付き合ってる暇はないとすら思った。
語り手
- しかしあくまでも研究会場、新たなことを研究するきっかけになるかもしれん、と長は思ったのだ。
語り手
- 「死刑囚分の二酸化炭素が無駄だと思うからでございます。死刑囚は死刑が執行された後基本的には焼かれてしまうでしょう?そんな殺されてもいいような人間のために地球が傷つくのは少し心が痛みます。」
赤い女
- はぁ。
長
- そして私たちの住む地球は人類の増加により今後破滅へと向かってしまうでしょう?
赤い女
- 食糧不足でいずれこの世の食べられる動物は絶滅します
赤い女
- なんで人間の肉は食べないのですか。豚と同じく人間の意志で殺しているのに
赤い女
- 周りはなにを言ってるんだと思っているようなものもいたが、ほとんどの人がなにも言えない表情を浮かべていた。
語り手
- なるほど、しかし、それでは人間の秩序が狂うだろうに
長
- 人間の秩序?なにを言っているのですか。人間の、ではなく、日本人の。ですよね?
赤い女
- 日本人はいくつか秩序を守れていないものがあります。あなたたちの周りだって他の人と違うような行動をしている人がいるでしょう、だから日本の秩序なんてものは原則に過ぎないのです。
赤い女
- ほう、
長
- わかりました。それではこちらの方で検討いたしますので、本日はご退出ください。
長
- お話聞いてくれてありがとうございました
赤い女
- そういうと赤の女はスタスタとまた研究会場の鍵を開けて出ていった。
語り手
- ふぅ、
長
- 長の息がもれた。
語り手
- さて、今回の議題はまだ決まっておらず、こちらに興味深い話をしてくれる女性が来た、と言うことだが…
長
- 一度調べてみたらいかがでしょう?
名無しさん
- 全員の注目が1人の研究者に当てられた
語り手
- たしか彼の研究分野は人間の精神について、だった。
語り手
- あの女1人にだけでいいんです。一度人間を食らうと言うことの気分の悪さを証明してやりましょうよ
名無しさん
- 誰を食べさせるつもりだ?
長
- 奴には死刑囚の夫がいます。
名無しさん
- それが目的ではなかろうか?
長
- そうかもしれませんね
名無しさん
- ですが、あやつをここで押さえないととんでもないことが起きると思うのです私は
名無しさん
- そもそも…君はなぜそんなにあの女のことを知っているのかね?
長
- …
名無しさん
- 研究者は黙った
語り手
- あいつと知り合いなのです。
名無しさん
- ほう
長
- しかし、あいつとは全く関わりを持っていなかったので、こちらの情報も風の噂に過ぎませんが…
名無しさん
- なるほど
長
- ここの研究会は国にも認められている研究会なので、どんなことをしても国のためだと一言言えば国は黙っているのでこの噂を信じて女の言う通りにしても良いのであった
語り手
- 他に意見があるものは?
長
- 誰1人として手を上げなかった。
語り手
- んー、どう思うかね、小島君は
長
- っ!?
名無しさん
- 小島…というのは長と共に研究を続けていた人であり長の唯一の信頼者である
語り手
- はぁ、今回の件に関しては少し興味深いような気もします。さらに、あの女1人だけというものも被害が出ることはそうそうにないでございましょう、そしてあの女の夫が死刑囚というのは都合が良いと思われます。もう一度女を呼んで我々と冷静にお話ししてから決めたほうが良いでしょう。
名無しさん
- 異論はあるかね?
長
- よし、ないのであれば小島の言う通り動けるよう各自準備せよ
長
- 研究者一同は、女の居場所を調べてここに来るよう指示をした
語り手
- 1時間してまた女が大きな扉を開けて入ってきた
語り手
- お話…ですよねぇ?
赤い女
- あぁ、そうだ、我々もお前の意見に前向きに考えているところだ。そこに座れ
長
- ふーん、
赤い女
- しかし、質問がある
長
- 何でしょう?
赤い女
- お前、夫はいるのか?
長
- …
赤い女
- 女は少しの沈黙の後で笑いながらこう言った
語り手
- 笑笑見た目からして美しいから?それとも私のこと狙っていらっしゃる?😉
赤い女
- そんなことはないから安心しろ誰かこの女の名前を知ってるか?
長
- この女の名前は伊丹聖子。28歳です。
名無しさん
- ありがとう、
長
- 伊丹さん、我々はあなたのお願いを聞き入れる代わりに我々のお願いを聞き入れてもらいたいのです。
長
- あなた方の望みは何でしょう?
赤い女
- 我々が伊丹さんの自宅へお伺いして、貴方が何者なのかを調べさせてもらいます。そして貴方と関係のある死刑囚を実験台とし、貴方に食べてもらいます。
長
- どうして私の知り合いでないとダメなのですか?
赤い女
- 貴方の考えに知らん人を巻き込むわけにはいかんでしょう
長
- …
赤い女
- まぁいいでしょう私の知り合いの死刑囚になんの感情はありませんから
赤い女
- 女が研究員の望みを承諾したことから、実験は始まったのであった。
語り手