包帯無駄遣い装置生誕祭
「文豪ストレイドッグス」の創作話・短編。 太宰さんお誕生おめでとうございます。
- 来るべき6月19日
モブ
- それは彼の人の誕生日
モブ
- ……
芥川龍之介
- 贈り物を買ったはいいが、渡す術が思い付かない。その上、人虎を捕獲しようとして誘き出したあの時は樋口が一人で探偵社に行ったのでそもそも場所を知らない。
モブ
- そうして遂に迎えてしまった今日。贈る方法はまだ思い付いていない。直接会うというのも考えた。だが敵対組織である探偵社を訪ねるのは気が引ける。
モブ
- そうして贈り物も持った儘探偵社のあるビルの前に佇んでいると、一人の男がやって来た。
モブ
- その姿には見覚えがあった。
探偵社の社員である国木田独歩、その男だ。男は僕を見るなり声を出して構えをとった。
モブ
- 芥川…!探偵社に何の用だ!?
国木田独歩
- 今日は闘いに来たのではない
芥川龍之介
- 何だと?その手に持っている物は何だ。もしや爆発物ではあるまいな?
国木田独歩
- 違う。これは………太宰さんに渡せ
芥川龍之介
- 狼狽える国木田独歩に太宰さんへの贈り物を押し付けると足早にその場を去った。
モブ
- ……何だったのだ
国木田独歩
モブ
- 全く……自殺愛好家の誕生日を祝うとは奇っ怪だな
国木田独歩
- そう云う国木田君が企画してくれた癖に。敦君から聞いたよ?
太宰治
- あのお喋りめ……。そうだ、太宰。これをお前にだそうだ
国木田独歩
- 何これ?誰から?
太宰治
- 芥川だ。開ける際には気を付けろ。何が入っているか判らん
国木田独歩
- あの芥川君に限ってそんな物は贈って来ないよ。どれどれ……。これは…蟹だ
太宰治
- 意外と普通の贈り物だな…
国木田独歩
- 国木田君、何が入っているか判らない贈り物と云うのはこういう物なのだよ
太宰治
- それは先程宅配されて来た物か?女性の筆跡で怪しさは感じないが
国木田独歩
- 頑張って筆跡を変えたようだけどこれは中也からだね。国木田君、試しに開けてみてよ
太宰治
- …そこまで云われて誰が開けると思っておるのだ
国木田独歩
- 大丈夫大丈夫。命にまで関わる事は無いから
太宰治
- そうか。…なら……
国木田独歩
- 箱を開けたその瞬間、そこから飛び出た白い物体が国木田独歩の顔にへばりつき、ベッタリと床に落ちる。
モブ
- ね?
太宰治
- 何が「ね?」だ!人の顔にパイなんぞぶつけおって!
国木田独歩
- それを贈ったのは中也だよ。恨むなら彼を恨むべきだ
太宰治
- 開けさせたのは貴様だろう!
国木田独歩
- ……てへ
太宰治
- 太宰!貴様ァ!
国木田独歩