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ひとり劇場

路地裏

創作キャラが可愛すぎる

薄暗い路地裏は霧に覆われる
霧ノ男
こんなところでどうしたの?(白い霧はいつの間にかすぐ側に居た。ゆらゆらと静かに揺れながら、優しい声で尋ねてくる)
エアー
…別に(フードを深く被って、いつもと同じ低く掠れた声で言う。はぁ、と小さくため息をして)
霧ノ男
そんなことは無いだろう。ほら、(エアーの言葉に、全く…と呆れたような声で呟くと、また優しい声に戻る。霧はエアーの方に近づくと、ぐいっと顔を上に向ける)
エアー
あ、…なんだよ(ガスマスクからチラリと見えたエアーの目元は赤くなっている。
きっと泣いていたのだろう)
霧ノ男
また無理をしたんだね。私でよければ話を聞こう、ね?(ゆらゆらと霧はまた揺れる。エアーの顔から霧が離れて)
エアー
…病院で、診てもらってきた
(霧が離れると、すぐにまた下を向く。
ポケットに手を突っ込んで)
霧ノ男
うん、どうだったの?(霧は優しい声で話を聞く。エアーのすぐ隣で)
エアー
どんな治療をしても、もう無理だって
(強い風が吹き、フードがおりてしまう。
マスクからシュコーと音がして)
霧ノ男
…あぁ、そうか。(霧は大きく揺れて悲しそうな声で言う。だがその後に、はは、と小さく笑う)
死にたくないのか、君は
霧ノ男
前まで死ぬことを考えていたのにね。
随分変わったじゃないか
(霧の声はどこか楽しんでいるように聞こえる。霧は風に吹かれて少し薄くなって)
霧ノ男
私は嬉しいよ。君が生きたいと思ってくれてね(ふふっと笑いながらエアーにそう伝えると、霧の中から浮き出るように小さな瓶が出てくる)
これをあげよう。好きな時に使いなさい(瓶の中には薬のような物が入っている)
エアー
うわ、いかにもって感じ…(瓶の中をじっとみながら呟き、その瓶を受け取れば、すぐにポケットに突っ込んで)
どうせ死ぬなら薬でもなんでも使ってやるさ(ニヤニヤとマスクの下で笑いながら言う)
霧ノ男
…私は君のそういうところが好きなんだよ(霧はゆらりと大きく揺れれば、そのまま散らばるようにして消えていった)
エアー
……(霧がいた場所を静かにみながら、ポケットの中にある瓶をぎゅっと掴む。後ろから声がすると、いつもの調子て振り返る)やっほーう!俺ちゃんエぁ…
「  」
古峰。君には我々の身内として、素晴らしい死を提供する。安心して目を閉じたまえ(これはなんだろう。美しい夕焼けの景色だ。景色が後ろにある。空間に写真を切って貼ったような、そんな景色)
エアー
…俺はまだ死なねぇ。お前らに言われてもな(その景色に驚く様子もなく、ハッと馬鹿にするように笑って言う)
「  」
…我々に逆らうと?(景色は夕焼けから夜景に変わった。ホーホーとフクロウの鳴き声がする)
エアー
そういうとこも含めて、全部お前らがやってる事だ(そう言って景色の方に手を突っ込み、その景色の空にある綺麗な月をガシリと掴んで取り出す。月を地面に叩きつけ、グリグリと足で踏んで)
「  」
嗚呼。君は我々に、運命に、シナリオに、逆らうというのだな。哀れな男だ(そういうと景色は、辺りに広がる"偽物の景色"に溶け込むように見えなくなり、いつも間にか空も暗くなっていた。だがその暗い空には、何故か月は見当たらない)
エアー
…さみぃ(ガスマスクから白い息が漏れる。地面に散らばったガラスのような月は地面に吸い込まれていき、あっという間に無くなる。ふと顔を上げると空には月が浮かんでいる。ポケットに手を入れて、スタスタと足音を鳴らしながら歩いていく。風の吹く路地裏にはもう誰もいない)

3  

投稿日時:2022-03-01 15:20
投稿者:泥沼ぱるぅ
閲覧数:6

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