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ひとり劇場

奇異

うたプリの藍さんが出てくるお話です。続…く、かも、しれません。全然ぱっとしない区切り方です。タイトルに深い意味はないんですけど、書きながらいつか意味がついてくる日が来るかもなあと思いました。

博士
何かな、藍
日々のメンテナンスを終えた直後、藍は博士に向かって言った。
たとえばさ。博士は今、生きているよね?
俯きながら、自分の手の甲を見てそう呟いた藍に、博士は短く返事を返す。
そうだね
……そう。博士は、生きている。れっきとした人間であり、生物だ。外界とは膜で仕切られていて、体内で代謝を行なっていて、自分の複製を作ることが可能で
そこまで言うと、数回瞬きをして、藍は博士のほうを見た。
今度は何を言い出したかと思えば、藍が語ろうとしているのは、またもや哲学的な内容のようである。と、瞬間的に、博士はそう思った。
でも、僕は違う。人間でも生物でもない。ただ思考を行って歌う、それだけの人造人間で、
飛行機に搭乗することすらままならない
悪かったね、材質の都合上、飛行機に乗れなくてさ
けれども、もしそれが可能になってしまったら。
そう途中まで言ったところで、博士は口をつぐんだ。
なってしまったら、何?
……いや。藍には関係のないことだよ、忘れてくれていい
もしそれが可能になってしまったなら、俺はどこかしらの組織に消されるだろう。と、博士は誰にも聞こえないよう、心中で言い、小さく笑う。
藍は一瞬、不思議そうに首を傾げたが、続けるね、とだけ呟いて話を再開した。

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投稿日時:2021-09-20 13:56
投稿者:涙
閲覧数:2

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