青春してこ。
るぅとくん、大変だね
- るぅとくん、呼んでるよ
モブ
- 僕?
るぅと
- 一度、予習をするのを中断して、席を立った。
- ころちゃんかな。
教科書貸してとか言われたらどうしよ
- 無理って言お。
- あっ、遅い!
私
- …なんだ、どうしたの
るぅと
- なんだって何!?
私
- 緊急事態なんです。助けて
私
- 何忘れたの?
るぅと
- 落ち着きのない様子を見て、次の授業は古典か体育あたりかなと推測。
- でも、もし古典だとしたら貸せない。
- 今日僕のクラス古典ないからね。
- 話が早くて助かります体育服忘れました体育服貸してくださいお願いします
私
- あー体育ね
るぅと
- 土下座する勢いで言われたら貸すしかない。
- 僕は、優しいから、貸します!
- 自分のロッカーから体育服を出し、持っていく。
- はい、汗かかないでね
るぅと
- ありがとうございます
私
- 言っときますけど今日バスケです
私
- …絶対汗かくじゃんそれ
るぅと
- ねぇやだ、貸したくない
るぅと
- いいじゃん、私と匂い一緒なんだから
私
- そういう問題じゃない
るぅと
- じゃ、
私
- 僕の体育服を抱えて、颯爽と帰っていった彼女。
- 汗だくの体育服が返ってきたらどうしよう、と溜め息をついた。
- …あ、予習しないと、
るぅと
- 次の授業の予習がまだ終わってない事を思い出して、急いで自分の席に戻る。
- その時、教室に猿みたいな声が響き渡った。
- るーぅーとぉーくぅん!!
ころん
- …はぁ
るぅと
- るぅとくん、呼んでるよ
モブ
- 行かなくても良いかな、予習終わんないし
- 2回も席を立ちたくなくて、そのままノートにペンを滑らす。
- るぅとくぅん!!体育服わすれた!!
ころん
- るぅとくん、
モブ
- …
るぅと
- …体育服貸したから無理ー
るぅと
- 体育服貸したから無理だってー!
モブ
- はぁ!?誰に!?
ころん
- 妹ー
るぅと
- 妹だってー!
モブ
- アイツかよ!!
ころん
- モブくん、本当有能
お猿さんとの通訳出来るんだね…
- 一方ころちゃんは、一人で怒って帰っていった。
- 僕の妹と喧嘩してなければいいけど。
- …忘れたら先生に言うのが一番だよねぇ
るぅと
- だよねぇ
ころん
- っ!?な、なななんでいるの!!
るぅと
- 独り言を呟いて、返事が来たかと思えば、いつのまにか僕の方を見て座っているころちゃんの姿。
- か、帰ったんじゃないの…?
るぅと
- 戻ってきた
ころん
- …なんで?授業もう始まるでしょ?
るぅと
- サボる
ころん
- はっ、ばか!!
るぅと
- いだっ!!横暴!!横暴だぁ!!
ころん
- 帰れ!授業を受けろ!
るぅと
- いでででで!!
ころん
- やっぱりるぅとくん暴走族なんだあ!!
ころん
- 忘れ物したらサボるってサイクル何!?
- ころちゃんの耳を思いっきり掴んで、廊下に放り出す僕。
- に、横暴だ〜やら暴走族だ〜やら、ありもしない事を叫ぶころちゃん。
- デコピンお見舞いしてやろうかな…
- ちゃんと、授業を受けてください
るぅと
- はい、ごめんなさい
ころん
- よろしい
るぅと
- 戻りなさい
るぅと
- はい、ごめんなさい
ころん
- ばいばい
るぅと
- はい、さようなら
ころん
- トボトボと帰るころちゃんの背中を見て、また溜息をついた。
- 朝から僕は働き者だね。
もう疲れた。
- はーい、席に着いてね〜
先生
- えっ、
るぅと
- 突然聞こえてきた先生らしき声に、急いで振り返り教卓を見る。
- そこには、恐ろしいで有名な先生の姿。
- …
るぅと
- ちらり、と僕の机の上を見る。
- …やばい、
るぅと
- 予習、終わってない。
- 冷や汗が背中を流れた。
- えーっと、最近先生は、ダルマが好きです
先生
- 意味の分からない世間話を聞きながら、必死に予習を進める。
- ノートにペンを走らせながら、ころちゃんを恨む僕であった。