両片思いの年下×年上の話。前編
両片思いの年下×年上が両思いになるまでのお話。ほんのりR要素あり。初めて小説を書いたので拙いですが、よろしくお願いします🙇♂️ #BL #腐向け #恋愛
- _俺、高坂 浩貴(こうさか ひろき)には好きな人が居る。
- 先輩おはようございます
比嘉 千尋
- 比嘉はいつもの調子で、隣のデスクに座る俺に笑いかける。
- ん、おはよう
高坂 浩貴
- 彼の名は比嘉 千尋(ひが ちひろ)。
7つ下の後輩で俺が教育係を担っている。
- 先輩朝から仕事してたんすか?
比嘉 千尋
- 俺に言ってくれれば全然手伝いましたのに...
比嘉 千尋
- いいよ。後輩に俺の仕事を手伝わせる訳にはいかないし
高坂 浩貴
- (そういう気遣いが出来る所好きだな)
高坂 浩貴
- 俺はこの男が好きだ。
- しかしこの気持ちを表に出すつもりは無い。
- (絶対に叶わない恋だと分かりきってるから)
高坂 浩貴
- 俺はこの恋を諦めている。
- __________________
- (よっしゃ。今日は早めに来て正解だったな)
比嘉 千尋
- (先輩と2人きりだし)
比嘉 千尋
- 俺は隣に座る先輩を横目に見る。
- ...
高坂 浩貴
- サラサラとした黒い髪の毛に、すんとした鼻、伏し目がちの瞳。
- ///
比嘉 千尋
- (やっぱいつ見ても綺麗だ)
比嘉 千尋
- 28歳とは思えないその容姿に俺は虜になっていた。
- ...俺に何か付いてる?
高坂 浩貴
- 先輩は俺の視線に気付く。
- あ、いやなんにも!
比嘉 千尋
- (やべ。つい見過ぎてたな)
比嘉 千尋
- 俺は先輩が好きだ。
- しかしその気持ちを口に出す事はつもりはない。
- (“もし今の関係が壊れたら”って思うと怖いし)
比嘉 千尋
- 俺はこの恋に怯えている。
- __________________
- 飲み会?
高坂 浩貴
- はい!高坂さんも是非来て欲しいんです
社員A
- 俺はいいかな。皆で行ってきてよ
高坂 浩貴
- 俺は人の集まりが苦手で、こういう類はいつも断っている。
- いやでも課長から言われてるので...
社員A
- (上の誘いか。なら断れないな)
高坂 浩貴
- ...分かった。今日の何時にやるの?
高坂 浩貴
- 今日の7時です!ありがとうございます
社員A
- 今日の7時ね...
高坂 浩貴
- (本当は行きたくないけど仕方ない)
高坂 浩貴
- ...
比嘉 千尋
- __________________
- 先輩も飲み会行くんすか?
比嘉 千尋
- デスクに戻ると比嘉が声をかけてくる。
- まぁ...課長からそう言われてるらしいから
高坂 浩貴
- はは、そりゃあ断れないっすね
比嘉 千尋
- そういう事
高坂 浩貴
- ...乗り気じゃないっぽいですけど、やっぱり飲み会は嫌いすか?
比嘉 千尋
- まぁね。人と集まるのが苦手だから
高坂 浩貴
- ふぅん...
比嘉 千尋
- なら先輩、途中で抜け出しません?
比嘉 千尋
- え?
高坂 浩貴
- 俺はその言葉に驚く。
- 途中で抜け出して先輩と飲み直したいなーって思って
比嘉 千尋
- 俺、先輩と2人きりで飲んだ事無かったので
比嘉 千尋
- いや...それは
高坂 浩貴
- 俺は口ごもる。
- (2人きりなんて俺の理性が大変な事になる...!)
高坂 浩貴
- 先輩は嫌ですか?俺と一緒に飲むの
比嘉 千尋
- 比嘉は俺の顔を覗く。
- いや、そんな事はないけど...
高坂 浩貴
- なら行きましょ!
比嘉 千尋
- わ、分かった...
高坂 浩貴
- __________________
- (半ば強引だったけど許可貰えて良かった!)
比嘉 千尋
- (先輩と2人きりで飲める、か...)
比嘉 千尋
- (今夜が楽しみだな)
比嘉 千尋
- 比嘉は嬉しそうに笑顔を浮かべた。
- __________________
- 高坂先輩こっちですー!
社員A
- あぁ
高坂 浩貴
- P.M.7:00 俺は皆と合流する。
- 先輩!
比嘉 千尋
- !
高坂 浩貴
- どきっ
- 比嘉を見た途端、心臓が高鳴った。
- (私服初めて見た...)
高坂 浩貴
- (ピアス付けてる...かっこいい)
高坂 浩貴
- (...飲み会来て良かったかも)
高坂 浩貴
- __________________
- 先輩!
比嘉 千尋
- 俺は先輩に声を掛ける。
- !
高坂 浩貴
- 先輩は俺に気付き振り返る。
- わ...!
比嘉 千尋
- 俺は思わず声が漏れた。
- (先輩の私服姿...!)
比嘉 千尋
- (大人っぽくてかっこいい...)
比嘉 千尋
- (...俺の私服、子供っぽいとか思われてねーかな)
比嘉 千尋
- __________________
- 高坂先輩が来るなら言ってよ〜
社員B
- いやぁごめんって
社員A
- はぁ...高坂先輩が来るならバチバチにメイクしたのに
社員B
- なんかごめんね
高坂 浩貴
- いえいえ〜先輩は悪くありませんよ♡
社員B
- 女性社員は先輩にデレデレとしている。
- (おぉ、凄い変わり様...)
比嘉 千尋
- (やっぱり高坂先輩ってモテるな)
比嘉 千尋
- ていうか先輩あまり飲んでなくないですか?
社員B
- あぁ、俺あまり飲むと寝ちゃうからさ
高坂 浩貴
- (なにそれ可愛い!)
比嘉 千尋
- だからなるべく飲まない様に...
高坂 浩貴
- 先輩はこくりこくりと頭を動かす。
- ん...
高坂 浩貴
- ...
高坂 浩貴
- 先輩はそのまま眠りに落ちてしまった。
- せ、先輩!?
社員B
- よっし、そろそろ二次会行くぞ〜
社員A
- ってあれ?高坂先輩寝ちゃったの?
社員A
- そうみたい...どうしよう
社員B
- あ!俺が先輩を連れて帰ります!
比嘉 千尋
- __________________
- ん...
高坂 浩貴
- かすかにテレビの音が聞こえる。
- (家...?)
高坂 浩貴
- 俺はゆっくりと体を起こした。
- あっ先輩おはようございます
比嘉 千尋
- テレビの音大きかったすかね。起こしてすみません
比嘉 千尋
- 比嘉君...なんで...?
高坂 浩貴
- 目を擦って辺りを見渡す。
- そこは俺の知っているリビングでは無かった。
- ここは俺の家ですよ。先輩一次会でダウンしてたんで連れ帰ったんです
比嘉 千尋
- あ、ちなみに会費は払っといたんでご安心を
比嘉 千尋
- あぁそうなんだ...迷惑かけてごめん
高坂 浩貴
- いえいえ全然!
比嘉 千尋
- ...それよりも、先輩まだ飲めます?
比嘉 千尋
- お酒いっぱい買ってきたんすけど
比嘉 千尋
- 比嘉は机に缶ビールを並べる。
- ん、寝たらスッキリしたから平気
高坂 浩貴
- 了解です!じゃあ飲みましょっか
比嘉 千尋
- __________________
- 〜で、そんな事があってね
高坂 浩貴
- ふふ、思い出したらつい笑いが...
高坂 浩貴
- そんなに面白かったんすか?
比嘉 千尋
- うん、ふふふっ
高坂 浩貴
- 酔った先輩はよく笑う。
- (本当可愛いなこの人)
比嘉 千尋
- 俺はそんな先輩の笑顔も好きだ。
- あ、今話題になってるやつだ
高坂 浩貴
- 先輩はテレビを指さす。
- 『有名俳優×有名モデル まさかの結婚!』
- えぇっあの俳優結婚したんすね〜
比嘉 千尋
- ね。25歳で結婚かぁ
高坂 浩貴
- 先輩はテレビから目線を落とす。
- 結婚ね...
高坂 浩貴
- ...先輩は結婚願望とかあるんですか?
比嘉 千尋
- うーん...無いと言えば嘘になるかも
高坂 浩貴
- え?
比嘉 千尋
- 俺は固まる。
- (あれ、先輩って彼女居たんだっけ?)
比嘉 千尋
- (そういえば俺、先輩の恋愛全然聞いた事なかったかも...)
比嘉 千尋
- 先輩って彼女居るんですか?
比嘉 千尋
- 俺は恐る恐る聞く。
- ううん、居ないよ
高坂 浩貴
- あ...そうなんすね
比嘉 千尋
- 俺は内心ホッとした。
- ...んじゃあ好きな人は?
比嘉 千尋
- ......いる
高坂 浩貴
- え
比嘉 千尋
- ...いるよ、好きな人
高坂 浩貴
- あ、そ、うなんですか...
比嘉 千尋
- その瞬間、俺の中でふつふつと様々な感情が沸き立つ。
- (先輩、好きな人居るんだ...)
比嘉 千尋
- 相手は誰?という探究心と、嫌だという拒否反応。
- そして失恋の様な鋭い痛みが俺を襲った。
- 水貰うね
高坂 浩貴
- 先輩は立ち上がって去ろうとする。
- 先輩。
比嘉 千尋
- しかしそれよりも先に先輩の腕を掴んだ。
- ん...なに?
高坂 浩貴
- 先輩の好きな人って...誰ですか
比嘉 千尋
- えっ
高坂 浩貴
- 教えてください
比嘉 千尋
- ...言えない
高坂 浩貴
- っ誰にも言いませんから!
比嘉 千尋
- ...ごめん
高坂 浩貴
- 先輩は苦しそうな顔で謝る。
- ...
比嘉 千尋
- 信頼されてないんすね...俺
比嘉 千尋
- いや...そうじゃなくて
高坂 浩貴
- ならなんで言ってくれないんですか!
比嘉 千尋
- 言ってください...!そしたら俺諦めますから
比嘉 千尋
- え、それってどういう事...
高坂 浩貴
- 墓穴を掘った。
- そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
- (だけどそんなの今更どうでもいい)
比嘉 千尋
- 先輩...!
比嘉 千尋
- !
高坂 浩貴
- 俺は乱暴に先輩の唇を奪う。
- 甘い酒の匂いが鼻をかすめた。
- んっ、...っん
高坂 浩貴
- 始めは抵抗していたものの、段々と力が弱まってくる。
- ん...
比嘉 千尋
- んぐ...っん゛っ
高坂 浩貴
- 舌を入れると再び先輩は抵抗し始めた。
- っは、ん...っ
比嘉 千尋
- 俺はそんな先輩を逃がすまいと強く抱き締める。
- ん、ぅ...
高坂 浩貴
- !
比嘉 千尋
- すると先輩は今にも泣き出しそうな目で俺を見つめた。
- 俺はそんな先輩を見て咄嗟に唇を離す。
- っは...ん、はぁ
高坂 浩貴
- はぁ...はぁ
比嘉 千尋
- 先輩と俺は荒く呼吸して息を整える。
- 先輩、すみま...
比嘉 千尋
- 俺...帰るね
高坂 浩貴
- ごめん
高坂 浩貴
- そう言うとすぐさま帰って行ってしまった。
- 先輩...
比嘉 千尋
- 俺はがくんと肩を落とす。
- 俺の心は罪悪感でいっぱいだった。
- あーあなにやってんだ俺......
比嘉 千尋
- ...こんなの絶対嫌われたじゃん
比嘉 千尋
- 俺は泣きそうな声でぼそりと呟いた。
- 両片思いの年下×年上の話。
前編[END]